先日入手した怪しげな白い筒、 「3倍テレプラス PRO300」をテストすべく、 上野動物園へ出掛けた。
目的はほとんどこいつのテストだけなので、 持って行ったレンズ類はテレコンのテストで毎度登場するEF200/2.8Lに、
3倍テレプラス、 エクステンダーEF 2×、 エクステンダーEF 1.4×だけ… にしようと思ったが、
アメ横あたりでスナップしたくなるかもしれないので、 申し訳程度にシグマ24-70mm
F3.5-5.6 UCだけは持って行った。 24mmから撮れて200gちょいという重量はこういう時ありがたい。
ところで、 上野動物園に行ったのはかなり久し振りだった。 というか、
行ったことがあるのは間違いないのだが、 それがいつだったのか思い出せないくらい昔。
なのでどんな所なのかは全く知らない状態だったのだが、
「動物園と言えば多摩動物公園」という多摩育ちの私からすると、 一歩踏み入れて思ったのは 「すごく…狭いです…」。
最初は、 600mmなんて要らないんじゃないかと思った。 実際は猿山で表情を捉えるなど、 やはり600mmの使いではあったのだけれど。
あと、 間隔の狭い柵やらガラス越しでないと見られない動物など、
やたらと障害物が多い。 多摩動物公園の方が遙かに撮りやすいのは間違いない。
広いが故に600mmでも不満になりそうという危険性はあるが^^;
・・・まぁ文句ばかり言っても仕方ないので、
それなりに工夫して撮ることにした。
撮影結果を見てわかったのは、 3倍テレコンによる画質がどうこう以前に、
良好な画像を得るには、 きっちりMFでピントを合わせられる・しっかり手ブレを防ぐ、 といった撮影技術の方が遙かに重要だということ。
今回、 総撮影コマの8割が、 拡大して見れば、
ピンボケや手ブレの影響を受けているのがわかるほどだった。 まぁ、 ピクセル等倍でキッチリ写るなんてことに拘りすぎると良いことはないのだが、
機材の性能を語るにはそれではまずい。
というわけで、 以下の写真は全部EF200/2.8L +
3倍テレプラスによるものだが、 弱気に長辺1200ピクセルに縮小したもので、 常識的な範囲でアンシャープマスクも掛けている(PhotoShopで半径0.3、
閾値0、 強さ100程度)。 また、 多少は作品ぽく見えるようにDigital
Photo Professionalでスタンダード以外のピクチャースタイルを適用したものもある。
ただし600mm
F8でどのような画が撮れるのかはわからないと意味がないので、 トリミングやレタッチはしていない。 また、 周辺光量や収差補正もしていない。
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絞り開放(F8) 1/400
何だか剥製みたいだが、 こういう平坦な背景のケージで飼育されているのだ。 大きさはスズメより一回り大きい位。 |
絞り開放(F8) 1/200
三脚+フリー状態の雲台ではブレないのはこの位のシャッター速度が限界か?
左の写真もそうだが、 絞り開放でも周辺減光はまず目立たない。 元が暗いだけにこれは重要。 |
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絞り開放(F8) 1/400
逆光で体毛がフワリとするのを狙ったものだが、 逆光ではコントラストが低下しやすい。
このカットでは逆光補正という目的もあってフラッシュを焚いているが、
これ以外のシーンでもフラッシュの光が届く状況では目にキャッチライトを入れる目的でフラッシュを焚いている。 |
2/3段絞り(F10) 1/400
ペリカンは巨大な鳥だが、 池に浮かぶ島を活動拠点にしているのでかなり距離がある。
もちろんここは人工的に作られているのだが、 超望遠は野生の世界を覗いているような感覚もあって楽しい。 |
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2段絞り(F16) 1/640
大きく美しいペリカンだが、 泳ぎだすと画的にはカルガモと変わらないような気もする^^; |
2段絞り(F16) 1/640
巨大カルガモその2^^;
…屋外でもISO400までは遠慮無く感度アップする、 という位思い切った方が結果は良さそう。
このカットもISO400まで上げて、 確実なシャッター速度を得られる範囲で絞れるだけ絞っている。 |
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1段絞り(F11) 1/500
大自然系のテレビ番組(?)のような雰囲気。 ああいうのって実際かなりの望遠で撮ってますものね。 |
絞り開放(F8) 1/320
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唯一、 写真としてどうかはともかく^^; 機材の性能を最大限に発揮していると思われるコマがあったので、
これは撮って出しのJPEGを原寸で掲載しておく。
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2/3段絞り(F10) 1/400 |
明暗差の大きい所で色の滲みが出てはいるが相当キッチリ解像しており、
200mm F2.8が600mmに化けたものだと思えば上出来すぎると思う。 マスターレンズの性能にもよるだろうが、 ばっちりピントが合って手ブレも防げ
れば、 3倍という高い倍率のテレコンでもこの位は写るということだ。
というわけで、 またもやケチを付けて申し訳ないが、
3倍テレプラスPRO300 3XMについてのデジカメWatchのレビュー記事はほとんどこのテレコンの真実を表していない。
メーカーとお付き合いして機材を無償で借りられたりしないと真剣にレビューなんか書かないっつーことだろうか(毒)(毒)(毒)
なお、 撮影条件としては、 どれも三脚を使い、
フリー状態にした自由雲台にカメラを乗せて撮影している。 これによる手ブレ補正効果は確実性を重視すれば1段といったところか。
そもそも本当の手ブレ補正だって、 画質を損なわずに3段も4段も効くわけではないだろう。
↑純正ISレンズはEF-S18-55mm
F3.5-5.6ISしか持ってない私が言うのも何ですが^^;
また、 仮にシャッター速度が稼げるシーンでも、
MF専用ということを考えると、 MFのし易さは手持ちとは大違い。 これは本物の手ブレ補正でも得られる効果だが。 その点では、 同じ600mm
F8でもサンヨンIS+エクステンダー2Xだとかなり使い勝手が良さそう。
ただ、 私が超望遠を求める主な目的は夕日やら何やらを撮りたいからなので、
絞ればそれなりの画質が得られそうなこの組み合わせは十分以上に使い物になりそう。 逆光でのコントラスト低下がちょっと気になるが、
その辺りもいずれ実写で試してみたい。
最後に、 老婆心ながら…
この組み合わせでは、 ファインダー内の表示が 「F2.8」
であっても実際はF8である。 新しい 「3XM」 含め、3倍テレプラスには絞り値の換算機能はない。
もちろん、
それでもTTL測光では適切な露出値を返してくるので問題ないのだが、 見落としがちなのが 「ゴミ」 の問題。
デジタル一眼の弱点である撮像素子のゴミの写り込みは、 F値が大きいほど目立つ。 普通は望遠でF2.8で撮れば、
余程大きなゴミでなければ目立つことはないのだが、 この場合は絞り開放でもF8なのだ。 なので、 絞り開放でも結構ゴミが写り込むことがある。
RAW撮影が主体であったりレタッチをする方であればゴミの写り込みは言うほど実害はないことが多いが、 撮ったままプリントしたい方は要注意である。
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