ご存じの通りEOS5D MarkIIIが発売される。
主要スペックについては不満がある人はほとんどいないのではないだろうか。
61点AF、 ファインダー視野率100%、 防塵防滴、 6コマ/秒・・・
少なくとも、 初代EOS5D、 EOS5D MarkIIのような 「フルサイズ版廉価機」ではない。
…が、 あえて「Mark IIIがイケてない」点を。
それはフォーカシングスクリーンが交換できないこと。
あまり気にしたことがない方もいると思うのだが、 キヤノンのデジタルではEOS-1D系、
EOS5D初代・MarkII、 EOS40D以降の2桁機のフォーカシングスクリーンは交換式になっていて、
暗い代わりにマニュアルフォーカス時にピントの山がわかりやすいタイプに交換することができる。
逆に言うと古い機種は除いてはKiss系とEOS7Dだけが交換できない機種だった。
マウントアダプターやMF専用レンズなど一つも持っていない、 マクロ撮影もほとんどしないという私が言うのも何なのだが、
交換不可だったらEOS5Dを買わなかったかもしれないという位重視しているポイントだったりする。
実際はメーカーが精度を保証できない(よって当然交換用のスクリーンは発売されない)といった理由のようなので、
どうしても必要な人は自分で工作するなりして取り付けていると思う。
ミノルタのα9用スクリーンをEOS10Dのスクリーンのサイズに切ったり削ったりした日々が懐かしい^^;
しかし、 最近の高機能(高性能、ではない)なファインダーでも出来るのだろうか?
撮らない方はピンと来ないかもしれないが、 実は鉄道写真というのはMFを多用する。
レンズの焦点距離等にもよるが、
時速100kmで向かってくる列車にAIサーボAFで挑むのは「バクチ」である。
なので列車が来る前にレリーズポイントを想定して、
それと同じ距離にある物にMFかAFでピントを合わせておいて、 実際に列車がそこに差し掛かった瞬間にシャッターを切るのだが、 どっちにしても高度なAF機能とは無縁
である。
(アマチュアならAFで撮る人も実際はかなりいるだろうし別にそれに何か言うつもりもないです)
ついでに、
正面から撮るような場合はAEが列車のライトの影響を受けるのでマニュアル露出で撮ることが多く、 AEすら要らない。
巨砲を構える人も多い半面、 古めかしいカメラを使っている人も同じ位多いのはそのせいだろう。
で、 メーカーの方針としてはそういう緻密なピント合わせはライブビューでやれってことなのかなと想像する。
確かに三脚を構えることも多い鉄道写真やマクロ撮影ではライブビューでのピント合わせの方が便利ではある。
ただ、 薄くて小さいミラーレス(…ノンレフレックスと呼ぶことになったんだったな…)
ではなくわざわざ重くてかさばる一眼レフを使う一番の理由は、 何だかんだ言っても光学ファインダーにある。
仮に撮れる写真の品質には差がないとしても、 一眼レフを売る以上はファインダーにだけは一切の妥協を許さないという位の気合いが欲しいところ。
MarkIIIでわざわざ光学ファインダーの視野率を100%にしているわけだし。
もし私がライブビューでしかピント合わせをしないなら、 多少見にくくてもミラーレスで済ませる。
もしくは、
まさかとは思うが「実はMFなんてほとんどしてないんじゃないの?」という考えによるものだったら、 キヤノン自身が失敗だと気付いてすぐに廃止したAレンズ(とパワーズーム)を思い出してもらわねばなるまい。
いくら今までの5Dシリーズでは貧弱だったAFが強化されたとは言え、 だからMFを軽視していいというものではないはず。
AレンズとはAF専用のEFマウントレンズで、 AF/MF切り替えスイッチが無い。 私の知る限りではEF35-70mm
F3.5-4.5AとEF100-200mm
F4.5Aだけが存在する。
パワーズームのEF35-80mm
F4-5.6 PZもズームが電動であることを除いてはAレンズと同じ。
ここで言うパワーズームは電気的なズームリングではなく、 一眼レフなのにレンズに付いたボタン2個でズーム操作をするという不便極まりないもので、
「ネタ」以上の存在価値はない。
が、 EOS-1D Xや5D MarkIIIに35-80mmパワーズームを装着して出掛ければ最強の「ネタ」の一つにはなる^^;
マクロレンズでウィン、ウィンとAFを何度も往復させている人をたまに見掛けるが、
そこは素直にMFを使うべきなのだ。
スクリーン交換が可能か不可能かというのは、 人によってはそれだけで購入できない理由になり得る。
MarkIIIで追加された水平儀機能などと違って、 光学ファインダーでのピントの掴みやすさは後付けではどうにもならないのだから。
それが不満なら1Dシリーズ買えというのはナシの方向で^^;
…逆にそこに拘らない人には、 5D
MarkIIまでで足りなかったものがほとんど実現された文句のないカメラだろう。
私は、 いつの間にか発売から6年半も経ったEOS5Dを大した不満も感じずに使っているわけだが、
MarkIIIも同じくらい長く使える機能・性能を持っていると思う。
正直、 MarkIIでは「この程度なら初代でいいじゃない」 と思ったのだが、 MarkIIIなら、 スクリーン交換に拘らない人には素直に
「おめでとうございます」と言う気になる。
残念ながら私は初代5DのスクリーンをEe-Sに交換しているし、
上にも書いたようにEOS10Dにミノルタ製のスクリーンを加工して装着していた人なので手放しには目出度くない。
…などと偉そうに評論しつつ、 自分自身はカメラバッグとか原始的な用品類とか、
性能競争とは離れたところに地味な楽しみを見いだすのであった(笑) …後日に続く
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