2倍テレコンの画質はどの程度?

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2倍テレコンの画質はどの程度?

〜エクステンダーEF2X & 2倍テレプラス

時にキワモノに近い扱いをされることもある2倍テレコン・エクステンダーだが、 実際のところはどうなのだろうか。

掲示板などで話題が出ると 「トリミングの方がマシ」 なんて言う人もいるが、 それは根本的に違うと私は思う。 安い200mmを使う位なら高性能な100mmからトリミングした方がマシ、 と言う人はほとんどいないだろう。

とは言え、 やはり画質は気になる。 自分で試してみるのが一番ということで、 下記の2種類の2倍テレコン・エクステンダーをテストしてみた。

  • 純正 エクステンダーEF2× (初代)

  • ケンコー 2倍テレプラス MC7
    (要は昔からある一番安いやつ、 ジャンクコーナーの常連である^^;)

前者は古くなったとは言えカメラメーカーが結構な価格で販売しているもの、 後者は正反対に、 EFマウント用では最も安価に手に入るもの… と、 両極端である。

なお、 テレプラスの方は最新のもので言う 「2X テレプラス MC7 DGX」 にほぼ相当するもので、 基本的な光学系は変わっていない。 PRO300とは別物である。

テスト方法

いずれもフルサイズデジタル一眼レフである EOS5Dで撮影したもので、 撮影パラメーターはデフォルト、 カメラ内で生成されたJPEG画像をそのまま掲載している。

三脚を使用し、 ミラーアップ+セルフタイマー+リモートスイッチ※で撮影している。
合成F値5.6はAFの動作範囲内なので、 MF・AF織り交ぜて各条件で5枚撮影した中から、 もっとも良好な画像を選んで掲載している。

※結構知らない人も多いが、 EOSはミラーアップモードでセルフタイマーを使うと、 シャッターボタンを押した時点でミラーアップし2秒後にシャッターが切れる、 という動作をする。 基本的にはレリーズを持っていない際の三脚撮影に便利な機能だ。 ミラーアップによる振動が2秒以内に収まるという前提ならば通常のミラーアップと効果は変わらない。
なお、 リモートスイッチを持っていれば素直にリモートスイッチとミラーアップで良いのだが、 私は2度シャッターを押すのが面倒なのでこの方法を使うことが多い^^;

テスト画像

手抜き気味ではあるが、 サムネイルで周辺光量を、 原寸画像で解像度合いを見て頂きたい。

なお、 参考画像として、 EF200mm F2.8L USMでそのまま撮影した画像を2倍拡大&トリミングした画像も載せた。
なぜトリミングだけでなく拡大するのかと言えば、 トリミングして擬似的に望遠画像を得れば、 現実には同じサイズで出力するにはトリミングした分画像を拡大しなければならないからだ。

…とか偉そうなことを言っておきながら、 肝心の参考画像は1.4倍テレコンのテストの際に撮ったものであり、 撮影日も条件も全然違うのだが^^;、 トリミングとどっちがマシかの判定程度ならそれでも十分と判断した。

また、 テストした日は陽が出たり陰ったりしていたため、 画像間で露出がバラついている。 この季節(梅雨)に快晴の日にテストするというのはなかなか難しいということでご勘弁を。

あと、 お決まりだが、 このページの画像はフルサイズデジタル一眼によるものなので、 APS-Cのデジタル一眼レフをお使いの方は周辺減光や最周辺部の画質についてはある程度は無視して構わないと思う。
  絞り開放(F2.8)   絞り開放(F4)

参考:

EF200mm
F2.8L USM

2倍拡大&
トリミング

参考:

EF200mm
F2.8L USM
+
Extender
EF1.4X (I)

1.4倍拡大&
トリミング

  絞り開放 F5.6 1段絞り F8 2段絞り F11
キヤノン
Extender
EF2X (I)
ケンコー
2X
テレプラス
MC7
   
    F11が2枚ある理由は後述

注:Exif情報について … このテレプラスは焦点距離・F値の変換に対応していないため、 絞り開放(F5.6)の画像のExif情報のF値はF2.8となる

結果

エクステンダーEF2X (I型)

中心部でも高級レンズのように切れるようなシャープさはないが(当たり前)、 全体的に、 廉価な300mm望遠ズーム 以上程度の画質は確保できている。 個体差によって変わるだろうが、 今回の場合右下隅を除けば 、 絞り開放から像の乱れはわずか。
絞り開放では周辺減光は多少認められるが、 なだらかであるしそれほど目立つわけでもない。 並みのレンズより良い位であろう。

トリミング&拡大画像との比較では、 周辺を切り捨てている分周辺光量や最周辺部の像の乱れではトリミングの方が有利なのは当たり前だが、 それを除けば、 無条件に 「トリミングの方がマシ」 などと言うのは大間違いであることがわかる。 トリミングすればするほど拡大が必要な以上、 画質の劣化は明らかだ。

なお、 例えば200mm F2.8や300mm F4の画像をトリミングして400mm相当の画角を得るのであれば手ブレ限界も400mmで撮るのと同じだし、 被写界深度は 元の200mm F2.8や300mm F4より深く (同じF値で同じ構図ならフルサイズよりAPS-Cの方がボケないのと理屈は同じ)。
なので、 とにかく周辺減光が許せないとか、 拡大による画質劣化が明らかでも周辺部が 「乱れている」 感じがするのが許せない、 という特殊な事情(価値観? 性格?^^;)でもない限り、 無理に2倍エクステンダーを避けて通る理由はないと言える。

もちろん、 2倍テレコンでAFが効かなくなるF2.8より暗いレンズで使うのが前提で、 かつAFでないと撮るのが困難といった場合は話は別。 食わず嫌いせず用途に応じて合理的に考えようよ、 と言いたいだけ。

…さて、 1段絞れば、 ほぼ画像全体で均質な像が得られ、 中心部のシャープさもやや向上している。 周辺減光もほぼ目立たなくなる。
また、 元のレンズが絞り開放から相当シャープであるということもあってか、 2段絞っても中心部のシャープさは1段絞った場合からほとんど向上しない。 周辺画質はより向上している。

総じて、 L望遠単焦点のような高画質を求めるのでなければ、 普通のレンズの感覚で使って問題なさそうだ。

2Xテレプラス MC7

中心部は純正よりわずかに甘いといった程度なのだが、 中心から少し外れると画質が低下し始め、 左右端でもかなり像が乱れている。 四隅は言わずもがな。 絞り開放ではある程度割り切って使う必要があるだろう。 ただし、 周辺減光は純正よりやや大きいという程度で健闘している。

ただ、 実はこのテストには少々問題がある。

テレプラスを装着すると像面湾曲(像面歪曲…ってどっちが正しいの?)が大きくなるのか、 同じ絞りでも複数のカットを比較すると 「中心はシャープだが周辺が乱れている」 「中心は甘いが周辺は良好」 という2つのパターンに分かれてしまうのだ。

それを踏まえた上で、 1段絞ったF8でのカット(のうち最良のもの)は、 絞り開放より見違えるほど画質が良く見え、 四隅でもそれほど画像が乱れていない。 十分使えるレベルだ。

ところが、 更に絞ってF11では、 5枚撮った中では、 中心はシャープだが周辺がF8より乱れているか、 中心がピンボケのようだがF8より周辺画質は良い、 というカットしかなかった。 差が極端なため、 どちらかだけを載せることができず、 苦し紛れで2枚掲載している。

原因としては、 恐らく、 僅かなピント位置の差によって、 ジャストピントの位置が中心になったり周辺になったりするのだと思う。 撮影時は、 本人は中心部でピントを合わせた(つもり)。

像面湾曲が原因であれば、 理屈上は、 主要被写体が周辺にある場合はそこでピントを合わせれば主要被写体はシャープに写ることになるが、 そのピント位置の差がファインダーで確認できるほどのものなのかどうかはわからない。

いずれにしても、 カットによって当たり外れが大きくなってしまいそうな気はする。

なお、 テレプラスでは純正エクステンダーより画像の黄色味が強い。
撮影時、 AWBで撮ってしまったのだが、 後でRAWにWB太陽光を適用しても同様だった。 この辺りは、 個体の経年劣化の可能性もあるし、 より新しいモデルではコーティングの変更等によって違った結果になるかもしれない。

まとめ

この記事の目的は純正エクステンダーとテレプラスの画質比較ではないのだが、 やはり純正のエクステンダーの方が遙かに信頼できるという結果ではあった。
私の場合、 普段からEF200mm F2.8Lを常用しており、 また2倍テレコンがAFで使えるのは開放F値が2.8までのレンズなので、 他のレンズでの使用はあまり考えていない。 そのため1.4倍テレコンと違って汎用性は必要なく、 2倍テレコンの画質が各種1.4倍テレコンの画質比較と同じような結果になるのであれば、 純正エクステンダーが最有力である。

なので、 以下はEF200mm F2.8L USM + エクステンダーEF2Xに限定しての話。

まず、 純正の400mmはLレンズしかないので比較するのは酷として、 シグマやタムロンの400mm F5.6ズーム … シグマ135-400mm F4.5-5.6・現行120-400mm F4.5-5.6、 タムロン200-400mm F5.6 … と比較しても劣ることはないように思う。 何より、 これらとは大きさや重さが違いすぎる。
EF200/2.8L+エクステンダーEF2X(I型)の合計重量はほぼ1kgジャストで、 当然移動時は分離できるので機動性は高い。

かつてシグマとトキナーから400mm F5.6単焦点が出ていたが、 どちらもほぼ1kgと、 他のレンズより軽量化を重視した製品だった。 全長もEF200/2.8L+エクステンダー2Xと同じ程度(EF400/5.6Lは50mm位長い)。

これらのレンズの画質には興味がある。 もし画質が同じ程度だったら、 あえて入手が難しいこれらのレンズを探すより、 特にEF200mm F2.8Lを持っている方ならいつでも手に入る純正エクステンダー2Xを追加すれば済んでしまうから。

なお、 唯一、 トキナーにはズームでありながら重さが1kg弱、 かつ全長がEF200mm F2.8単体とほとんど変わらない 80-400mm F4.5-5.6 (現行はAT-X840D) があるが、 このAT-X840Dのレビューを見る限り、 400mm域ではEF200/2.8L+エクステンダー2Xの方が遙かに高画質と思われる。 もっとも、 トキナーの80-400mmは小型軽量と高ズーム倍率を追求した製品なので、 画質がどうこう言う以前に必要な人には必要なレンズであろう。

なお、 私自身に限れば、 どんなに他のレンズの画質や利便性を言ってみても、

  • 年中400mmを必要としているわけではない

  • EF200/2.8Lは頻繁に持ち歩いている

  • 荷物は小さくて軽いに越したことはない、 というか重いのヤダ^^;

という事情から、 小型レンズ1本より嵩張らないエクステンダー2Xを荷物に追加するだけでまずまずの400mm F5.6を持ち歩くのと同じ効果が得られるという利点に勝るものはない。 純正エクステンダーはそれなりの値段はするが、 最新モデルやら防塵防滴性能を求めず初代で良いならば400mmレンズ自体を購入するよりは安価であるし。

余談

ところで、 掲示板でテレコンの画質についての話題が出た際に、 こんなことを言った人がいた。

  • 「テレコン使用時は、 マスターレンズの画質の何割の画質になると言うより、 マスターレンズの満点からの減点分が拡大される」

…なるほど、 と思った。

主観で解像性能に点数を付ければEF200/2.8Lは90点 ちょっと(減点10点未満)だが、 仮に1.4倍テレコンで減点が2倍、 その更に1.4倍の2倍テレコンでは減点が4倍になるとすれば、 それぞれ85点位、 70点弱となる。

この数字では1.4倍テレコン使用時にも元の約9割の点数ということになるが、 元が70点(悪くないという程度) のレンズに1.4倍のテレコンを使っても 70×0.9 で63点の画質が得られるかとなると、 実際には減点30点×2で40点という方が現実に近いと思う。

それで「減点拡大装置論」(笑)に納得したというわけだ。

…まぁ、 点数が真実かどうかはともかく^^; 単純に画像が拡大されるのだから、 倍率が高いほどマスターレンズのアラが目立つようになるのは間違いないだろう。

逆に、 雑誌等でのプロの言葉として覚えているのに 「テレコンバーターも有効だが1.4倍までにしておきたい」 とか 「ズームにテレコンバーターは…(言葉を濁す(笑))」 といった言葉があり、 これはアマチュアにとっても間違いではないと思うのだが、 元が高性能な単焦点であったり、 ズームでも最新鋭の、 恐らく解像力と色収差等だけは徹底的に抑え込んでいる製品ならば、 今となっては必ずしも正しいとは言えない気もする。
(それらの言葉は何年か前の時点での一般論として書かれたものだろうから、 それが間違いだなどと言うつもりはない。 念のため。)

実際、 EF70-200mm F4L IS USMとエクステンダー1.4倍での作例は、 EF200mm F2.8L+エクステンダーと変わらないかむしろ上だった。 これがEF70-200mm F2.8L IS II USMにも当てはまるなら、 ズームに2倍というのもある程度は「アリ」かもしれない。 

エクステンダーEF2X (安い順)

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