s.kさんからお誘いを受け、かなり久し振りに箱根登山鉄道の撮影に行ってきました。
そのままだと間違いなく「ただの日記」になるので、無理やり撮影機材について触れてみたりして、何とか雑記帳の体裁にしようと試みることにします(笑)
写真にも使用レンズを記載しましたので、何かの間違いで参考になるかもしれません。
過去の写真を確認したところ、最後に箱根登山鉄道を撮りに行ったのは2005年の7月初頭。 鉄道を撮り始めたのは箱根登山鉄道がきっかけ、という程
以前は撮っていたのですけれど、実に4年半振りとなりました。 箱根登山鉄道といえば紫陽花(アジサイ)が有名でシーズンにはそれはそれは見事なのですが、注目されて写真を撮る人が増えると
、なかなか好きな構図で撮れなくなってしまいました。
同時に、人が増えると中には困ったことをする人も出てきます。 結果、人が集まる撮影地では色々と規制がなされ、ますます自由に撮れなくなり…
結局私は「この状況じゃもう行かない」となり、足が遠のいていたのでした。
逆に、紫陽花の季節以外はほとんど写真を撮っている人はいないので落ち着いて撮影できますよ。
撮影機材
最近、大口径ズームは何かと使い勝手が悪いと思うようになり、「軽いズーム+要所に単焦点」という方針で行きたいという考えがあります。
ズーム有利な鉄道の撮影でこれが実用になるか試す意味もあり、次のような機材を選びました。
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EOS5D
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タムロン
SP17-35mm F2.8-4 Di
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タムロン
SP24-135mm F3.5-5.6
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EF100-300mm F5.6L
箱根登山鉄道は沿線に開けた場所が無いので300mmは不要ということもあり、EF70-210mm
F4とどちらにするか迷いましたが、重さには大差ないのでこちらに。 実はこのレンズでは初めての撮影です。
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EF100mm F2
USM
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EF200mm
F2.8L USM
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携帯用三脚(ベルボン MAX i 343ES)
非力な三脚ですが、望遠でなければそれなりに使えます。 スローシャッター用と考えればこの程度でも無いよりは遥かにマシ。
標準の雲台はあくまでコンパクトカメラ用というレベルで、それなりの一眼レフで使うと雲台がお辞儀して不便だったり指を挟んで痛い思いをしたりするので、
旅行以外では(かなりアンバランスですが)マンフロットの#352という自由雲台を付けて使用しています。
レンズは、「ズームは暗くてよく、その分は単焦点でカバー」という構成ですね。
EOS5Dの高感度性能を考えればシャッター速度の面ではF5.6でも十分、描写やシャッター速度で大口径が必要なシーンではズームは諦めて潔く単焦点、というわけです。
その点ではEF50mm F1.4
USMを加えても良かったのですが、身軽に動くにはこれ以上機材を重くしたくなかったのと、私の場合鉄道で50mmという焦点距離はあまり使わないのでお留守番としました。
今回持って行った2本の単焦点は間違いなく超高性能、絞り開放でも躊躇無く使用できるレンズです。
標準ズームはシグマ24-60mm F2.8 EX
DGにしてもほとんど重さは変わりませんが、無理にF2.8ズームを使うと標準ズームのカバー範囲が狭いという、どうでもいいようで実は結構大きなマイナス要素があります。
あれもこれもと欲張るよりは何かを割り切って別のものを得た方がいいということはよくありますよね。 レンズもそれと同じということです(?)
撮影記
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小田急ロマンスカーEXEを見送る駅員さん。 (100-300mm) |
さて、12時半にs.kさんと待ち合わせた小田原へ。 しかしs.kさんはかなり遅れる模様。
その間は小田原付近で撮影していることにしました。 色々な駅で降りることを想定して、一日乗り放題切符を購入。
「トコトコきっぷ」という名前で、鉄道(小田原〜強羅)とケーブルカー(強羅〜早雲山)が乗り放題です。
登山鉄道の料金は恐ろしく高いというわけではないので(あくまでローカル私鉄基準でのお話です)、1500円の元を取れるかは微妙でしたけれど。
まずは小田原駅で。 この日はEF100-300mm
F5.6Lを初めて持ち出したのですが、考えてみると300mmという焦点距離を使うのはフルサイズに乗り換えてからは初めて。
元々私は鉄道を撮るにしては望遠を使わない方ですが、「300mmってこんなに強烈だったっけ?」と思ってしまいました。
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風祭駅近くの人専用踏切。 (24-135mm) |
その後は、箱根湯本までの間で面白そうな所があったら下車して撮ってみることにしました。
今まで箱根湯本〜強羅の山岳区間でばかり撮っていたので、小田原〜箱根湯本の平地ではほとんど撮ったことがなかったのです。
しばらく乗っていると、箱根板橋〜風祭の間にちょっと急勾配で面白そうな場所があったので風祭で下車。
先ほど見た急坂に向けて歩いてみると、箱根登山鉄道らしい、遮断機も警報機(カンカンとかチンチンとか鳴るアレ)も無い踏切がありました。
山岳区間では箱根登山鉄道の短い列車しか走っていないのと終始ノロノロ運転(最高速度なんと40km/h)なのでこういう踏切にも違和感は無いのですが、こんな踏切を都心で見慣れた小田急の電車が走って行くのはちょっと
不思議。
…いつの間にか小田原〜箱根湯本は回送を除いては小田急の車両しか走らなくなり更に小田急色が強くなりましたが、こんな所もしっかり残っています。
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私にしては極めて珍しい(笑)正統派鉄道写真。 正面が陰になってるって? 細けぇこたぁ…
(100-300mm) |
思いのほかこの踏切での撮影に時間を費やしてしまいましたが、やっと気になった急坂に到着。 風祭の駅から徒歩数分の所ですけれどね。
国道1号をクルマで走っている時はあれほどウザ…いや熱心なカマボコ屋さんもカメラマンは無視のようです(笑)
というか風祭駅ってここら辺だったんですね…。
こういう場所での撮影は私には珍しく望遠レンズを使うことになります。
正直、専門外な感じもするのですが、撮ってみると実際シロウト同然であることに気付きました(笑)
誰だ、価格.comのレビューに投稿する際に「ハイアマチュア」とか選んだ奴は! すみませんペコペコ。
で、当然この坂の急勾配な感じを出したかったのですがまったく失敗。
普通の鉄道写真になってしまえばドシロウトの私がろくなものを撮れるはずもなく、右の写真のごとく「よくある鉄道写真」未満のビミョー写真の連発でした^^;
それでも一応、なるべく紅葉が入るように工夫したんですよ。
さて、その後はs.kさんを待ち受けるべく小田原に戻るか箱根湯本方面に進むかの選択になりましたが、合流は箱根湯本でもいいのでそちらへ。
箱根湯本の駅でちょこっと撮るつもりが結構エキサイト。 そもそもここまではほとんど小田急の延長で、ここから先やっと箱根登山鉄道らしくなります。
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箱根湯本に列車が到着するといつも見られる光景、水を注入する係の人。
(24-135mm) |
山岳区間はトンデモな急カーブの連続なので水を撒いて車輪と線路の摩擦を減らすというわけです。 (24-135mm) |
モダン(って言う時点でレトロですよね^^;)な駅には雰囲気があります。
古い車両にも似合いますね。 (17-35mm) |
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最近気に入っている「ニセ俯瞰」。
三脚(普通は一脚)にカメラを乗せてエイヤっと持ち上げます。 危険なのでくれぐれも倒さぬよう…。 (17-35mm) |
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補足:注意!
上の「ニセ俯瞰」、一見車両の屋根より上まで持ち上げているかのように見えますが、実際は目線よりせいぜい50〜60cm持ち上げているだけです。
欲張ってこれ以上持ち上げると、ふとミスした瞬間に「本当に死にます」。
上空には最高2万5千ボルトの電線があることを肝に銘じましょう。 架線に届かなくてもパンタグラフに接触すれば「死」です。
箱根登山鉄道なら750Vか1500Vだろうなんていう突っ込みは無用です。
…さて、時刻は15時半。
私はこうやって撮影を楽しんでるからいいけど、s.kさん、写真を撮る時間なくなっちゃいますよ^^;
私はそろそろ箱根湯本で撮るネタが無くなってきたので、「ちょっと先に進んでるかも〜」と連絡してお隣の塔ノ沢駅へ。
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普通に撮ると面白味が無いので列車をブラしましたが、更にもう少しシャッター速度を落とせばよかったかも。 (17-35mm) |
ここ、好きな駅なんですよね〜。
トンネルとトンネルの谷間のひっそりとした無人駅、そしてホームには弁天さま。 しかも予想外に結構紅葉が残っていて綺麗、これはラッキー。
しかし今まで、なかなか鉄道+弁天さまでうまくまとまった写真を撮れずにいたんですよね〜。
そういえばトップページで鉄道+○○とか偉そうに騙ってる奴もいましたね^^;
でもなんか、思い付きで決めたらこれでいいじゃんという感じになりました。 今までこの構図で撮っていなかったのが不思議。
そういえば列車を止めて写すことに固執していたかもしれません。
で、s.kさんには「箱根湯本に着いたら電話して!」と伝えたのですが、ふと電話を見るとこの谷間(本当に駅の両側が山)のせいで電波が入っていなかった!
うわ、まずい、連絡遅いな〜とか思っていたけど実はs.kさんはもう到着しているかも…。
しかしこの駅、開けた場所に出ようと思うと10分近く坂道を歩かなければならないというとんでもない場所にあります。
公衆電話…なんて無いよなぁ〜。 そもそも人気(ひとけ)が全く無いような駅だし…
と思って駅の周りを見ると、いつもシャッターが閉まっている小さな建物に灯りが!
どうやらお土産品(今時のかわいらしいお土産とは無縁、あるのは梅干とか(笑))を売っている模様。
けど公衆電話なんて無いよなぁ〜と思って覗いてみると、 喫茶店とかにあったような古めかしい電話機が。
しかし電話が置かれた棚の前には長椅子が置かれ、とても使うことを想定しているとは思えない^^;
一応お店にいたおばちゃんに「この電話使えるんですか?」と聞いてみると(だって8割方故障してそうな雰囲気なんだもん^^;)、どうやら使えるような感じのお返事(あいまい^^;)。
電話に近寄る者を拒絶するかのごとく横たわる長椅子を動かし始めるおばちゃん。 そして10円玉を投入!
今時テレカも使えないとは!と思いましたが、よく考えるとそもそもテレカなんて持ってない^^;
結局、無事s.kさんに「塔ノ沢で待つ!」と連絡できました。 そして恒例の?「おばちゃんとトーク」が始まりました^^;
どうやらこのおばちゃん、別に店の人ではないようで、奥で何やら彫っているおじさんが店のご主人のよう。
というかおばちゃん、人の店の中でワンカップ飲んで酔っ払ってるじゃないですか(笑)
しかもさっきから、店で売っているのと同じと思われる梅干をむしゃむしゃ食っているし。 罰としてその酒よこせと(…違いますね^^;)。
私の関心はおばちゃんより梅干にあったのですが(都会でまともな梅干を手に入れるのは実は難しく、田舎で「おばぁちゃんの手作り」系のを買うのが一番)、するとおばちゃんが「試食品あるよ!」と。
そして梅干の種を捨てるビンを見ると既にかなりいっぱい状態。 一人でこんなに食ったんかい(笑)
荷物が重くなるので買うかどうか悩みましたが、この手の梅干は見掛けた時に買わないと本当にいつ買えるかわからないので結局購入。
500gで500円ってのはスーパーの安いのと同じ位で高くはありませんし、当然味は比較になりません。
一般的な市販品が異常なだけなのですけどね…。
その後しばらくお店で待たせてもらっていると、おじさんが「今日はどこに泊まるの?」と。 いや、宿泊する予定はありません(笑)
でもこの時間に待ち合わせの連絡では当然泊まりだと思いますよね^^; 「次の電車だと(16時)17分だねぇ〜」…もうそんな時間か。
もはや一緒に写真を撮ることではなく、合流することが目的になっている(笑)
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真っ暗(笑) F2.8でISO1600だと何とか写ってしまうところがすごい。 白熱球っぽい灯かりがいい雰囲気。
(塔ノ沢-大平台 200mm) |
ピクチャースタイルを風景に設定したのを忘れてそのままだった。
空がこんな色になるのは新発見。 (大平台駅 17-35mm) |
そしてs.kさんが乗っているであろう強羅行きが来ました。 ホームからご本人を確認、その車両の方に走ります…と言っても2両編成ですけれど。
そのまま私も乗り込み、(私にとっては)ラストスパートで(s.kさんにとっては撮り始めで^^;)次の大平台に向かいます。
電車を降りると既に陽は沈み、みるみる暗くなってゆく…。 1枚撮ると、もう限界以下の暗さ。 線路際での撮影は無理なので駅に向かいます。
私は夜はほとんど撮らないので、それはそれで新鮮ではありました。 その後は大平台、宮ノ下の駅で撮影し、一応強羅まで行って終了。
箱根登山鉄道沿線は18時過ぎにはもうほとんど店が開いていないので小田原まで戻り、居酒屋で食事がてら酒を飲み色々と談義をし…
s.kさんにとってはほとんど遠征飲み会でしかなかったと思いますが(笑)、私にとっては撮影も充実した一日となりました。
さて、明らかに日記の様相を呈してきたので思い出したようにカメラの話を(笑)
この日の機材のチョイスは大当たりでした。
便利なズームで全域をカバーしてしまうと面倒で単焦点を使わないのではないかとも思いましたが、箱根湯本駅は屋根があって薄暗いのでEF100mm
F2 USMが役に立ちました。 タテマエはさておき実際は状況次第ですが、少なくとも日中のこの駅で三脚を使うのは人の迷惑になりかねません。
300mmは不要と思っていましたが、事情により(笑)平坦な区間でも撮影することになったため300mmを使用する機会がありました。
300mmが必要ない場合は私のビンボーズームラインナップだとEF70-210mm F4という選択肢もありますが、EF70-210mm
F4のF5.6より100-300mm F5.6Lの絞り開放の方が画質は上です。 もっと言えば、同ラインナップ(?)のEF80-200mm
F2.8LのF5.6よりもシャープさでは上だと思います。
ただし、ピント面から外れた部分(=ボケ)の描写はあまり良いとは言えません。
設計の古いEFレンズにはこういうレンズが多いように思います。 解像力だけを求めるなら今時のレンズと比べても遜色ないのですけれどね。
そして三脚。
箱根登山鉄道だと三脚を据えて列車を待ち構えるという状況は多くないので不要かとも思ったのですが、箱根湯本駅でのニセ俯瞰はなかなか面白かったです。
しかしこういう使い方だと普通の三脚は危険かも…。
また、普段は夜は撮影しないのですが、事情により(笑)夜も撮影することになったので普通に三脚としての出番もありました。
無ければ無いで諦めるのでしょうが、バッグの下に付けたりナップザックに入れたりすればあまり荷物にならないので持って行って良かったと言えます。
そうそう、最後に、計算してみたらやはり乗り放題切符の元は取れませんでした。
以前は都度切符を買うのが面倒だったのでそれだけでも意味がありましたが、今は箱根登山鉄道内でも終点までICカード乗車券(SuicaやPASMO)が使えるのでその点でのメリットはありません。
もっとも、この切符は強羅〜早雲山のケーブルカーでも使えるので、観光も含めてそういう使い方であればこちらの方がお徳です。
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