大きなフィルムで写真を撮ろう〜フジGW690II 第1回
あらかじめ申し上げておくと、 このページは、
ほとんどデジタルしか知らない坊やが書いている (年齢は坊やじゃないが^^;)。 なので、
既に中判やそれ以上のフィルムで写真を撮っている人にとっては当たり前のことしか書かれていないはずである。
さて、 私はほとんどデジタルでしか写真を撮らないのだが、 フィルム写真自体にはずっと関心は持っており、
時折古いフィルムカメラを持ち出したりしていた。
しかし、 デジタル一眼レフをフルサイズに買い換え、 銀塩時代のレンズや単焦点レンズが便利に使えるようになると、 写真表現や使える機材は35mmフィルム機とほとんど同じになり、 写真の出来という点ではフィルムで撮る必要性は更に薄れてしまった。
それもあってフィルムで撮る機会が大幅に減っていたのだが、
フィルムでの撮影にこだわっている人というのは、
表現力や画質というよりも撮影スタイル … 現像するまで結果はわからないので必然的に一枚に込める気持ちが強くなる等 …
にこだわっているという面が強いように思う。
後発の私は先輩諸氏に追い付くために効率重視でデジタルに注力してきたし、
実際、結果を残すための効率を追求すればデジタルが勝るのは明らかだと思っているが、
反面、プロではないのだから結果より撮影の過程を楽しむ方が趣味としては健全な気もする。
…と、 まぁ、 そんな大げさな話でなくても、 単純にいつもと違う機材で撮るというのも楽しいものなのだ。
私の場合、 どうせフィルムで撮るならデジタルでは不可能な大きなフォーマットで…
と思っていて、 そういう点では6×4.5判 (像面56×41.5mm) ではちょっと物足りず、 6×7判
(同69×56mm。 長辺で135判の2倍弱) あたりがいいなぁ、 などと考えていた。
6×7の一眼レフはバカでかくて重いので、 買うならレンジファインダーのMamiya7シリーズ
(リンク先はMamiya7 II) にしようと思っていたのだが、 どんなシステムでもボディとレンズを揃えるのは(経済的な面で)重荷だし、
メインであるデジタル一眼レフ一式と両方のシステムを持ち歩くのは物理的に厳しいものがある。
そこで目を付けたのがフジのレンズ固定式の中判カメラ。 フォーマットは6×7cm、 6×8cm、
6×9cmと各種揃っているが、 「どうせなら一番でかいフォーマットにしてしまえ!」 と、 ランニングコスト(フィルム・現像代)無視、 勢いだけで6×9判のGW690 II Professionalに決めてしまった。
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形状は銀塩コンパクトそのものであるが… |
レンズは90mm F3.5で、 6×9判では準標準レンズとなる。
135判での約39mmに相当。 この画角のせいもあってか、 昔は集合写真御用達カメラだったようだ。 このカメラを選んだ理由はいくつかある。
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コンパクトである もちろんデジタル一眼レフや135判フィルムカメラと比べれば巨大なのだが、 69判のカメラとしてはとても小さくて軽い。
重さは1.5kg弱で、 135用の大口径望遠や超望遠ズーム1本と大差ない。 あくまでもメインはデジタル一眼レフで、 大きなフィルムで残したいシーンでだけ使うつもりなので、
一眼レフのシステムと一緒に持ち歩ける範囲であることが前提。
あと、 レンズは交換できないのでシステムが肥大化する心配もない^^;
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構造が単純 何しろメカニカルシャッターかつ露出計非内蔵だから、 電池は要らない・ 構造は恐ろしくシンプルで、 いかにも故障が少なそうである。 古いカメラで少しでも電子制御の部分があると相当部品が手に入らず修理不能ということもあるだろうが
(何しろ電池自体が入手不能なカメラがいくらでもある)、 この種のカメラなら機械部品が物理的に破損・損耗しない限り修理できるし、
部品によっては一般的なもので代用したり、 型を取って自分で作ることだってできるかもしれない。
サイズ比較用に、 EOS5Dに標準レンズ (EF50mm F1.8 II) を装着したものと並べてみた。
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レンズ一体型のカメラだから、これも 「コンパクトカメラ」 なのだろうか^^;
念のため言っておくと右のはKissデジではない。
やや大柄なEOS5Dがとても小さく見える…
まさに巨大コンパクト?カメラ。 |
なお、 GW690シリーズには初代、 II、 IIIがあるが、
少しずつリファインされただけで基本的な性能・機能は何も変わらない。
ただ、 最終型のIIIだけは他に比べて値段が極端に高く、 IIの2倍以上する。 信頼性が一番重要となるプロならともかく、
素人ならIIを2台使い潰す方がお得な気もする。
また、 GW690の兄弟機として、 65mm
F5.6の広角レンズ (135判での28mmの画角に相当) を搭載したGSW690シリーズというのもある。
レンズ以外は基本的にGW690シリーズと同一で、 少なくともGW690 IIとGSW690 II、 GW690
IIIとGSW690IIIはマニュアルも共用である (マニュアルに、 両機の違いはレンズだけなので説明書を兼用しています、
という断り書きがある)。
画角が広い方が広大な風景など大きなフォーマットでより楽しめる写真が撮れそうだが、
デジタルと違って写り込んでしまったものをゴニョゴニョはできないので画角が狭いGW690を選んだ (ヘタレ…)。
流通量もGW690の方が圧倒的に多いようである。
露出計について
私の場合このカメラを単独で持ち歩くことはまずないと思われるので、
露出計を内蔵していないことはほとんど問題にならない。 単体露出計を購入するまでもなく、 他の露出計内蔵のカメラを露出計代わりに使ってもいいし、 それがデジカメなら、 テストカットを撮って好みの露出が決まったらその露出で撮れば失敗もない。 何しろこのカメラ、 120フィルム1本でたったの8枚しか撮れないのだ。 とてもじゃないけど多段露出 (ブラケット)
なんてする気にはならない^^;
ただし、 デジカメを露出計として使う場合、
実際の感度がフィルムより大幅に高かったり低かったりするものも結構あるようなので、 事前にテストしておく必要はある。
実際には、 それに加えてフィルムによる実効感度の違いや、
長時間露光ではフィルムの相反則の影響もあるが、 これは露出計を使っても同じことだ。
実写してみる
ちゃんとシャッター速度が出ているか (露出が狂わないか) をテストしたいということもあって、
120のリバーサルフィルム (ベルビア100F) を入れて初撮影をした。
なお、 ちゃんとフィルムの入れ方を守らないと、 1コマ目が半分切れたり、
フィルムのお尻が未露光のまま残ってしまったりする (←やっちまった人^^;)
実は試写の前に中古店でこのカメラの取説を見付けたのだが、 高いので買わなかった。
テスト撮影で数コマ無駄にしてもその方が安上がりだし…。 新宿に 「取説見るだけ50円」 なお店もあるが…
で、 撮り終わったら早速現像となるのだが、
ブローニーのリバーサルを即日現像してくれるお店はほとんどないようだ。 今日現在では、
新宿西口のカメラのキタムラでは120フィルムのリバーサルに限り即日現像してくれる。
「お急ぎですか?」 と聞かれたので特には急いでいないと答えると、 約2時間後の時刻を指定された。 そういえば昔は、
同時プリントの早さを色々な店が競っていたなぁ。 旧地元、 吉祥寺の写真屋で 「超特急20分」
で頼んだら乾ききっていないプリントが出てきたことも…
… 仕上がりまでの間カメラ屋を巡って暇を潰し … その間にも買い物してしまう危険を伴うが^^;
… 2時間後に仕上がったフィルムを受け取った。
仕上がりを見てピントが怪しかったらその場でカメラの無限遠をチェックしようと考えていたので、
電池でも使える小型ライトボックス (ってこれしか持ってないのだけど^^;) とルーペを持参していた。 近くの喫茶店でおもむろにライトボックスを取り出し、 ポジを眺めてみる。
うーん、 美しい。
ライトボックスの上で見るポジというのは独特の美しさがあるが、 撮像面82.6mm×56mmともなるとルーペを使わず肉眼でも楽しめる。 6×9判の像面は、 120/220フィルムの幅方向が長辺となる6×4.5判のおおよそ2倍もの大きさだ。
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69判のポジと見慣れたL判プリント
(さすがにこれは喫茶店で撮ったわけではない(笑))
スリーブとプリントの反りを押さえるために上に透明なプラスチックシートを置いているため明かりが写り込んでます |
とりあえず…
何と、 今回はこれで終わりなのだ。 私もまだ120フィルム1本しか撮っていないので、
わかったようなことは何も言えない。 とりあえず今回は 「でっかいポジって面白そうでしょ?」 ということで^^;
中判ともなると 「知っている人は当然のように知っている」 からなのか、
フィルムの入れ方なんていう初歩中の初歩についてはあまりネット上には情報がない。
でも、 フィルム時代から長く写真をやっている人でも、 135フィルムしか使ったことがないという人は結構いると思う。
なので、 次回以降、 肝心のフィルムの入れ方など少しは役に立ちそうな情報を載せたいと思っている。
文章でわかりやすく説明する自信がなく、 写真を準備したりするのにちょっと時間がかかりそうなので…
追記
大きなフィルムで写真を撮ろう〜フジGW690II 第2回 フィルムの入れ方を掲載しました
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