テレコン・エクステンダーの画質比較

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1.4倍テレコン・エクステンダーの画質比較

フルサイズデジタル一眼レフであるEOS5Dで、 1.4倍テレコン・エクステンダーの画質の比較をした。
前回の「テレコン・エクステンダーの装着可否」の続きだが、 装着可否ではなく画質だけ知りたいという方はこちらだけご覧頂いても良いと思う。

ここで扱っているエクステンダー・テレコンは、 前回同様

  • キヤノン純正 エクステンダーEF1.4× (初代)

  • シグマ APOテレコンバーター 1.4x EX

  • ケンコー テレプラス1.5倍MC4
    テレプラス1.4倍MC4 DGもほとんど同等品。
    倍率の表記が違うのは大人の事情^^;
    実際にテストに用いたのはケンコー1.5倍 MC4のOEM品であるタムロン純正テレコンバーター

の3種類である。

上記の通りいずれもEOS5Dで撮影したもので、 撮影パラメーターはデフォルト、 カメラ内で生成されたJPEG画像を使用している。

繰り返しになるが、 このページの画像はフルサイズデジタル一眼によるものなので、 APS-Cのデジタル一眼レフをお使いの方は最周辺部の画質や周辺減光については無視して頂いて良いと思う。

[参考] テストレンズ EF200mm F2.8L USMの性能

テストレンズの元の性能を示す意味で、 テレコンを装着しない状態のEF200mm F2.8L USMの画像を載せておく。

下の画像は、 フルサイズ1280万画素のEOS5DとEF200mm F2.8L USMの絞り開放で撮影した上のような画像から、 赤枠の200×200ピクセルの範囲をそのまま切り出したものだ。

なお、 当然ながらテレコン使用時とは画角が違うため、 テレコン使用時と同じ部分が写っているわけではない。

このように、 EF200mm F2.8L USM自体は、 絞り開放でもフルサイズの周辺部でこれほど解像する非常に優れたレンズだ。 テレコン装着によってどの程度画質が低下するかを知るには良い素材だろう。

解像テスト

下記の各条件での比較画像は、 フルサイズデジタル一眼で撮影した下のような画像から 200×200ピクセルの赤枠の範囲をそのまま切り出したものだ(参考用のテレコン不使用画像のみリサイズしてから切り出している)。

左/右中間が半端な位置なのは、 フルサイズで主要被写体が位置する可能性があるギリギリの位置であることと、 ここがAPS-C素子のカメラでの左右端位置であるためAPS-Cユーザーにも参考になりやすいであろうという理由による。 レンズには厳しめの条件だ。

なお、 以下の画像は下記の順に並べてある。

左上隅       右上隅
左端 左中間 中心 右中間 右端

今回は珍しくも何と親切なことに(笑)、 各テレコン・各絞りでの画像を表示したり非表示にしたりできるようにした。

これは、 例えばシグマのAPOテレコンバーターにしか関心がないという方が、 シグマのテレコンの絞りによる描写の変化だけを見比べたいといったときは、 他のテレコンの画像を一切隠してしまえば、 あまりスクロールせずにシグマのテレコンの画像だけを比較できる。

各条件の横にある「▲隠す / ▼展開」リンクをクリックすることで、 その項目を隠したり再度表示させたりできる。

参考画像 (280mm相当にトリミング・拡大)

EF200mm F2.8L USM 絞り開放 1.4倍拡大 ▲隠す / ▼展開

EF200mm F2.8L USM単体で撮影した画像の中心部をPhotoShopのバイキュービック法で1辺1.4倍にリサイズし、 テレコン装着時の画像と同じ部分を切り出したもの。

最終的に同じ大きさでプリント等をする前提だと、 トリミングした場合これと同じように拡大されることになるため比較用とした。 「テレコンを装着するよりトリミングした方がマシ」かどうかの判断材料にはなる。

     

絞り開放 (280mm F4)

エクステンダーEF1.4X 絞り開放 ▲隠す / ▼展開

     

シグマ APOテレコンバーター 1.4x EX 絞り開放 ▲隠す / ▼展開

     

ケンコーテレプラス1.5倍 MC4 絞り開放 ▲隠す / ▼展開

     

1段絞り (280mm F5.6)

エクステンダーEF1.4X 1段絞り ▲隠す / ▼展開

     

シグマ APOテレコンバーター 1.4x EX 1段絞り ▲隠す / ▼展開

     

ケンコーテレプラス1.5倍 MC4 1段絞り ▲隠す / ▼展開

     

2段絞り (280mm F8)

エクステンダーEF1.4X 2段絞り ▲隠す / ▼展開

     

シグマ APOテレコンバーター 1.4x EX 2段絞り ▲隠す / ▼展開

     

ケンコーテレプラス1.5倍 MC4 2段絞り ▲隠す / ▼展開

     

純正エクステンダー・シグマAPOテレコンバーター・テレプラスPRO300 (安い順)

解像テスト所感

純正 エクステンダーEF1.4X

かなり優秀である。

絞り開放でも、 サンヨン(300mm F4)単焦点の絞り開放での画像だと言われれば納得してしまいそうな画質。 特に周辺部(左端・右端)〜最周辺部(左上隅・右上隅)も画質低下は最小限。 絞り開放でも、 素のEF200mm F2.8Lの画像をトリミングしてプリント時に拡大するより結果は良いであろう。

絞り開放時の光学特性は280mm F4だから、 300mm F4にエクステンダーで420mm F5.6を目指すのでなければ単焦点300mm F4を選ぶ理由はあまりないとさえ思う。

更に、 1段絞れば完璧。 最周辺部まで安定した画質が得られる。

余談にはなるが、 EF200mm F2.8L USM (II)はエクステンダー使用にも十分耐えうる、 安くて高性能な単焦点の代表例だと思う。

シグマ APOテレコンバーター1.4x

画質では明らかに純正エクステンダーの方が上だが、フルサイズでの左右端・ 最周辺部の画質を追求するのでなければこの程度で十分なのかもしれない。 元々テレコンなどと言うものは完璧を求める人のものではないわけだし…。 とは言っても、 シグマやタムロンの廉価な70-300mm F4-5.6クラスのズームより画質は良い。 そしてズーム1本よりは軽いしかさばらない。

なお、 APS-Cでは、 このページでの左右中間での画像がAPS-Cでの画像の左右端になる。 絞り開放でも左右端がやや甘いという程度で済む可能性がある。

そんなわけで、 純正のエクステンダー対応レンズ以外使わないという方を除いては、 APS-Cの方には純正よりこちらの方がお勧めかもしれない。 絞り開放ではAPS-Cでも左右端・最周辺部で甘さが出るだろうが、 望遠レンズの絞り開放でこの部分が重要というシーンは実は少ないはず。

ケンコーテレプラス1.5倍 MC4 (1.4倍 MC4)

他に比べて安価なので仕方ないかもしれないが、 フルサイズで使用するには画質的に厳しいように思う。

中心部はシグマと同じかそれ以上にしっかりしているように見えるが、 中心部以外は かなり甘い描写で、 特に周辺部、 最周辺部は廉価ズーム程度の画質である。 テレコン未装着で撮影してトリミング・拡大した方が画像全体では良い結果が得られるのではなかろうか。

もちろん現場で280mmの画角を確認しながら撮れるというメリットはあるが…

周辺光量

テレコン使用時に気になるのが、 解像度合いに加えて周辺光量の低下。 マスターレンズの画像の中心だけ使うのだから周辺減光はむしろ軽減されそうな気がしてしまうが、 テレコン自体による周辺光量低下がかなりあるのだと思う。

以下は今回テストしたテレコンの周辺光量の比較用の画像で、 解像テストで使った画像の全体を縮小したもの。 参考 までに、 テレコンを装着しない状態でのEF200mm F2.8L USMをテレコン使用時と同じ280mm相当になるようトリミングした画像も加えてある。

  絞り開放 F2.8 1段絞り F4 2段絞り F5.6
参考:
EF200mm
F2.8L USM
トリミング
 
  絞り開放 F4 1段絞り F5.6 2段絞り F8
キヤノン
EXT.
EF1.4X
シグマ
APO1.4X
EX
ケンコー
テレプラス
1.5倍
MC4

周辺光量に関しても、 優秀な順に純正、 シグマ、 テレプラスとなっている。

  • 純正エクステンダーは、 通常の撮影ならば絞り開放でもほとんど気にならないレベル。

  • シグマは、 通常のレンズ程度の周辺減光で済んでいる。
    空を入れるような構図でなくても1段絞りたくなるシーンはあるかもしれないが、 フルサイズではどんなレンズでもこれはむしろ普通のことである。

  • テレプラスは、 シグマより周辺減光が大きく、 1段絞ってもまだ少し不安がある。
    ただし、 同じケンコーのテレプラスでも PRO300シリーズはそれ以外より前玉の径が大きくなっており、 周辺光量がかなり改善されているようである。

まとめ

キヤノン エクステンダーEF 1.4X

さすが純正、 特にテレコン使用を意識せずにサンヨン単焦点(300mm F4)感覚で使ってしまっても問題なさそうな画質だ。 純正エクステンダーに対応しているレンズで使う前提なら、 やはり純正に適うものはないということだろう。

ただし、 使えるレンズが非常に限られる上に値段は高い。

シグマ APOテレコンバーター1.4x EX

シグマは画質は周辺部ではぼちぼちといった感じだが、 これは純正エクステンダーに比べればという話で、 フルサイズである程度周辺の画質まで意識するにしても1段絞れば問題なさそうなレベル。

また、 前回書いた通り、 APOテレコンバーターEXのマイナーチェンジ前までの製品であれば装着できるレンズは思ったより多そうなので、 純正エクステンダーやシグマのテレコンに対応していないレンズで使う場合の選択としても最適。
そしてもちろん、 シグマ製のレンズでエクステンダーに正式対応しているレンズで使いたいのなら、 EXに限らずEX DGなど手に入りやすい最新のものを使えばいいのだ。

フルサイズでも絞り開放での周辺画質は気にしないとか、 APS-Cのカメラで使う方にはシグマのテレコンには特に魅力がある と思う。

ケンコー テレプラス 1.5倍 MC4 (1.4倍 MC4)

前玉の突出がないので一番多くのレンズに使えるのは間違いないのだが、 解像・周辺光量ともフルサイズでは物足りない。

純正はもちろんシグマも装着できないレンズを愛用していてどうしても活用したいといった事情がある 場合でも、 少なくとも周辺光量については改善されていそうなPRO300シリーズを選ぶことを私としてはお勧めしたい。

ただし中心部の画質は悪くなく、 APS-C機では四隅を除けばそれなりに使えてしまいそうなのも事実なので、 APS-Cに限るのならば安価であるし試してみるのも良いかもしれない。 …それでも私なら、 「お遊びで買ってみる」というのでなければAPS-CでもせめてPRO300シリーズにしておくかなぁ…

 

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次回予告…Exif変換機能やAF可否の話

純正、 シグマ、 ケンコーDGXタイプは、 「エクステンダー正式対応レンズについては」 レンズの焦点距離やF値を換算してボディに伝える機能を持っている。 そのおかげで、 正確なExif(デジタル写真に埋め込まれている撮影情報)の記録ができたり、 撮影時のボディ側の絞り値の表示が正しい値になる(開放F2.8のレンズに1.4倍のテレコンを装着している時なら絞り開放時にF4.0と表示される)。

…が、 そのことが逆にAFの可否に影響したりする。 しかしこれには回避方法などもあり、 決定的な要因ではない。 次回以降、 その辺りの事情について書く(予定^^;)。

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