マンフロット PL 3N1-35 スリングバックパック レビュー
本格撮影用のカメラバッグにはLoweproのスリングショット300AWを使っていた。
昨年は最近あまり撮っていなかった紅葉を撮りに行くようになったのだが、
機材にタムロン150-600mmが加わり、 特に小型三脚をバッグに装着した状態で数時間歩き回ると肩が痛くなるようになってきた。
実際は機材に加えて1リットルの飲料水ペットボトルを持ち歩いており、
この状態でどの位の重さなのか測ってみると9.6kgあった。
(私は体感的な重さと実際の重さの関係を知るために、たまに帰宅後に荷物の重さを計ることがある。どの程度の重さまでの機材なら購入候補になるかの指標にもなる。)
スリングショット300AWはある程度までの重さならそれほど負担に感じないよううまく出来ているが、片方の肩に重さが掛かる以上、やはりある程度を超えてしまうと厳しいようだ。
そこで、 スリングバッグにもリュックにもなるマンフロットのProLight 3N1-35を購入した。
マンフロット PL
3N1シリーズは、構造としてはリュックに近いが、片側の肩掛けベルトだけ使ってスリングバッグとしたり、それに加えて反対側も使ってクロスさせ移動時には両肩で荷物を支えることができるようになっている。
上記と同じ荷物で歩行時はクロス、荷物を下ろさずに撮影する時はスリングという使い方で山道を歩きながら4〜5時間撮影したが、機材の重さで肩が痛くなることはなかった。
背当てクッションも良く出来ていると思う。
クロスにする場合は多少窮屈な位体に密着させた方が歩きやすいと感じたのだが、背当てクッションがある程度の固さがあるものなので圧力が分散され、背中の圧迫感が少ない。
スリングバッグとしての性能
左右対称
スリングバック状態では、 右肩・左肩どちらにも掛けられる。
まぁどっちでも慣れ次第だとは思うが選択の余地があるのは良いことだ。
ロープロ スリングショットは右肩専用でベルトが太く曲線的になっており、 恐らくロープロが最適と考える形状になっているのだと思うが、
実際に背負ってみるとそれほど優劣があるとは感じない。
ちなみに私はスリングショットと同じで右肩に掛けている。
前に回す・背中に戻すのはスリングショットの方がスムーズ
スリングショットは底面に引っ張り用取っ手が付いていてこれを引っ張ると体の前に回しやすい。 また、背中に戻す際はベルトを引っ張るのが手っ取り早く、 スリングショットはベルトに指が掛かる箇所がある。 このマンフロット PL 3N1-35には残念ながらどちらもない。
側面からの機材の取り出し
スリングバッグで重要なバッグ側面からの機材の取り出しやすさ。 下の写真は、
左がマンフロット PL 3N1-35、 右がロープロ スリングショット300AW。
マンフロット PL 3N1-35の開口部は狭く見えるが、
比べてみるとスリングショット300AWとほぼ同じ。 しかし開く方向が違うため、 フリップの付け根側に大きな機材を入れた場合最後までしっかり開かないと取り出しにくい
。
リュックとして使うことも考えられているのでポケットは多いが…
スリングバッグ状態で前に持ってきたときに下側になるポケットは取り出しようがない。
もっとも、スリングバッグ専用であるロープロ スリングショットではこのような位置には最初からポケットは無い。
スリングバック状態で取り出しにくいポケットにはバッグを下ろさずに使うことが少ないレリーズケーブル等を入れるといった使い分けをしている。
私はこのような位置のポケットに三脚の足を入れて、 本来は三脚の脚を受ける袋を取り付ける辺りにボトルホルダーを取り付けている。
リュックタイプとしては…
当然ながらリュックとして使えば比較的豊富な物入れも全てを活用できる。
しかし胸の前でベルトを結合する仕組みが無いため、 背負う際はベルトをクロスさせたスタイルでないと重い機材を入れて歩き回るには不安定だと感じる。
バッグのサイズを考えるとそれなりの重さの機材を入れるだろうから、 背負う場合はベルトをクロスさせる前提で考えた方が良いかもしれない。
PC入れが便利
私は撮影にPCを持って行くことはまずないのだが、PCに限らず平たい(平たくできる)物を入れておくのにも便利。
あまり出番はないがいつも持ち歩いているセルフサンシェード(ホットシューに取り付ける「ヒサシ」だ)、 携帯用のウィンドブレーカー(畳むとかなり薄くなる)、
バッグに付属するレインカバーを平らに畳んで入れた。
レインコートを入れるのにも良さそう。
(使った後はどこに入れるかという問題はあるが。)
なお付属のレインカバーはバッグの外に吊り下げられるメッシュの袋が一体になっているものなので、 使用した後で濡れていても持ち歩きに困らない。
キャリーカート
カメラ用ではない、 キャリーカート着脱式のバッグに付属のものが使えている。
よく千円位で売られているキャリーカートでも特に問題ないと思われる。
ところで、
キャリーカートを使うとしたら撮影中に移動しないような撮影か泊りがけでの撮影旅行だろうと思う。
機材の量にもよるが、ボディ+レンズ3本程度、アクセサリー類を入れた場合、宿泊を伴う撮影で着替えその他を入れられるほどの余裕はない。
1泊程度でアメニティ完備の宿に泊まるのであれば何とかなるかもしれないが、
そうでないならキャリーカートの取っ手を通せるサブバッグを併用するのが良さそう。
上部気室
幅25cm、 高さ18cm(背中側)〜15cm程度で、 結構色々な物を入れられる。
下の写真では6枚収納のフィルターケース、 1リットルのペットボトルを入れているがまだまだ余裕があり、 行動食(例えばおにぎり数個)、
タオル等が入れられそうだ。
ロープロ スリングショットでは上部気室に上着等も入れていたのでいつも窮屈だったが、
スリングショットより上部気室が広い上に薄手の上着をPC収納部に入れられるため、 かなり広々と使えるようになった。
ただしこの広さは気室の形状が四角いことによって得られているのであり、
三角形状のスリングショットの方が開閉はスムーズだし背負ったままでも取り出しやすい。
外部アクセサリ
基本的に三脚固定用と思われるループが上下2か所にある。
(三脚の脚を入れる袋はこれとは別に専用のフックがある。)
デザイン上スリットの中にあり、 ロープロのものほど強度もないので用途は限定される。
上にも書いた通り、私はボトルホルダーを取り付けている。
改善希望点
脚がない
これはロープロ スリングショットも同じなのだが、 せめて下側には脚が欲しい。
下が湿った土だったりするとどの向きにも置けないことになってしまう。
確かに、 スリングバッグの利点の一つがバッグを下ろしにくい場所では下ろさずに機材を出し入れできることではあるのだが…
総括
高い
実売2万円ちょっと。 バカ高くはないけれど他の製品と比較して高い。 半額程度で購入できるロープロのスリングショットと比較すると、 一長一短がありどちらが特別優れているとも言えない。 しかし私は後述の理由により 「これしかない!」と思って、 多少高いのには目をつぶって購入した。
見た目が良い
黒からチラっと覗く赤が精悍でとっても気に入っている。 ワンポイントの小さなマンフロットのロゴバッジなど、 控え目でありながらしっかりデザインを主張している辺りセンスが良い。
もちろん見た目は撮影機材の本質ではない。 もう少し安いバッグを選んでその分を他の機材に投資した方が写真の質に貢献するのは間違いないと思うが、 この見た目は他にはない。 …そう、 私は結局見た目に負けたのである(笑)
十分な収納力がある
私が購入したのは PL 3N1-35 で、
収納力が下がるのは覚悟で全てのレンズを横から取り出せるように仕切りをアレンジしている。
この状態で私がよく持ち歩いているセットは次のようなもの。
F2.8通しのズームレンズは含まれていないが、 全長が260mm程度あるタムロン150-600mmがスリングバッグ状態で
横から取り出せる向きに入るのがミソ。
3N1-25 と 3N1-35 の基本的な違いは横幅で、 3N1-25だとタムロン150-600mmのような長さのあるレンズは横から取り出せる向きには入らない。
これに加えてクリップオンストロボ、 テレコンバーター、 小さな単焦点レンズ のうち2つなら入る。
(望遠ズームが200mm F4クラスや300mm F5.6クラスなら全部入るだろう。)
これに加えて上部気室にもフィルターケース (私は6枚収納のものを使用) や食料、飲み物等を入れられるので、
歩き回りながらの撮影が多い人にはまず十分な収納力があると言える。
これ以上になるとむしろ人間がしんどい。
メーカー製品情報 |
PL 3N1-35 |
PL 3N1-25 |
メイン収納部
内寸 (mm) |
奥行(W) |
160 |
← (3N1-35と同じ) |
横幅(L) |
280 |
220 |
高さ(H) |
320 |
← |
外寸
(mm) |
奥行(W) |
270 |
260 |
横幅(L) |
330 |
260 |
高さ(H) |
460 |
← |
ノートPC収納部
内寸 (mm) |
奥行(W) |
40 |
← |
横幅(L) |
270 |
200 |
高さ(H) |
400 |
← |
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