ハーフNDフィルターの色味
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筆者使用中の3種類のNDフィルター、丸型のND4と角形のグラデーション2種類。 |
ハーフNDフィルター
フィルムに比べてデジタルでは、
撮影時に必要となるフィルター類は減っているというのが通常の認識だろう。
しかしそのような状況でも、 ハーフND系のフィルターだけはむしろフィルム時代より必要となるシーンが増えているのではなかろうか。
ハーフNDは画面内での明度差を緩和するために使用することが殆どだと思われるが、
デジタルカメラのダイナミックレンジはフィルムのそれよりかなり狭いため、 より明暗差に気を遣わなければならないからだ。
私も風景を撮影するときは必ずハーフNDフィルターを持って行く。
個人的にはデジタルにおいても偏光フィルター以上に必要性の高いフィルターだと思っている。
私はCokin (コッキン: ケンコー扱い)の2種類の角形ハーフNDフィルター
を使っている。
境界線ではっきり色が分かれているものではなくグラデーションになっているものなので、正確にはハーフNDというよりハーフグラデーションフィルターの一種かもしれない。
はっきり色が二分されているものはさすがに撮影画像にもくっきりと明暗差が現れてしまい、 自然風景などでは使いにくい。
NDフィルターの色
最近、ハーフND系の角形フィルターで色味がニュートラルではないものがあるという話題を目にした。
また、有名なLeeの製品において、経年変化による退色でカラーバランスが狂うという問題があるらしい。
「ND」は Neutral Density
の略で、あくまで色はニュートラルであることが建前だが、経年変化はともかく実際はそうでもないようだ。
そこで、 手持ちのND系フィルターの色味と、
ついでに一部は露出倍数についても測定してみることにした。
色味の測定
次の3種類のフィルターの色味をテストした。
購入時期はそれぞれ異なっているが、 いずれも購入後10年近く経過しているものだ。
これらのフィルターを同時に写真用ライトボックスの上に乗せて同時に撮影している。
EOS5Dで撮影して「忠実設定」でRAW現像した。
ライトボックスだけを撮影した画像でマニュアルWBを取っているが、
これによってどこまでニュートラルな色になるかはカメラによるため、
それぞれのフィルターおよびライトボックスのRGB値の相対値で比較すべきものだ。
ノイズによる値のばらつきを考慮して、周囲5ピクセルの平均値をRGBの値としている。
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(左上) Cokin P.121M ハーフND4 (右上) Cokin P.121 ハーフND8 (下)
kenko PRO ND4 |
この画像からわかることは次の通り。
注意点として、 RGBで示される値は実際の光量に対してリニアではないので
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ND4では光源に比べてRGB値が約1/2になっている (実際の光量は1/4)
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ND8では光源に比べてRGB値が約1/4になっている (実際の光量は1/8)
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ND4とND8を比べるとND8はRGB値が約1/2になっている
(実際の光量は1/4)
これらは特に意味を持たないはずだ。
まとめ
なお、
最近出回っている中国製の格安の角形NDフィルターは品質に何かと問題があるようだ。
私はCokinのものを使っていて何も問題がないので、
今後もCokin製を購入するつもりだ。
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ハーフND4使用。
ND4であればあまり神経質にならなくても違和感は生じにくい。
私はほとんど常用と言っても良いほど頻繁に使っている。 |
ハーフND4 |
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ハーフND8(ハード)使用。
強い明暗差の緩和にはハーフND8が必要。 |
ハーフND8
P121グレー2(左)とP121Sソフトグレー2(右)
ハード・ソフトの違いはグラデーションのなだらかさで、当然ソフトの方が濃度の境界が目立ちにくい。
しかし撮影するシーン自体の明暗の境界がはっきりしている場合 「ソフト」 では補正し切れないこともあり得る。 |
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角形フィルターにはホルダーが必要。
3枚同時に使用できるものもあるが通常のフィールドでの使用には1枚用の方が良いと思う。
ホルダーが薄い分、 広角でのケラれも発生しにくい。 |
ホルダーに加えて、
レンズ先端のフィルターネジに取り付けるアダプターが必要となる。
アダプターは77mmなどの1種類だけ用意して、
77mm以外のレンズではステップアップリングを併用する方が効率が良い。 |
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