テレコン・エクステンダーの装着可否(1)

一眼レフで望遠側が足りないとき、 つい手を出したくなるのがエクステンダー、テレコンバーター。

1万円からせいぜい数万円の製品を元のレンズに装着するだけで焦点距離が1.4倍以上に伸びるのだから、 やはり頭の片隅では意識してしまうアイテムだ。
また、 600mm以上といった焦点距離は、 どんなに必要であっても、 メーカーによっては常識的な出費で手に入るレンズが存在しなかったりする。 そんなとき、 何とか安くサンニッパ(300mm F2.8)を手に入れて2倍テレコンを装着すれば600mm F5.6のレンズを手に入れることができる。

テレコン装着の実際

しかし、 画質や明るさがどうこうという以前に、 テレコンの装着可否という問題がある。 このページでは、 その辺りについてまとめてみたい。

なお、 マウントの種類、 主にフランジバックの長さによってかなり事情が異なると思われるので、 EOSのEFマウントに限定した話とさせて頂く。 また、 現在のところEF-Sレンズに装着できるテレコン・エクステンダー類は存在しないはずだ。

さて、 テレコン装着においては、 主に次のことが問題となる。

  1. マスターレンズに、物理的にテレコンを装着できるか

  2. 画質どうなのか

  3. AFが作動する条件

  4. AFが作動するなら精度はどうなのか

今回は1.の物理的形状の問題についてのお話。

今回調査したテレコンバーター3種。 一番右は良く見るとレアな品だが1.5XテレプラスMC4の同等品。

なお、 本ページで扱うのは主に1.4倍のものだが、 事情がややこしいシグマ製品については2倍のものにも言及している。

ところで、 ケンコーのテレプラスは以前は「1.5倍」とされていて、 比較的最近発売されたDGXタイプから「1.4倍」に変更されたが、 恐らく実際の倍率は昔から1.4倍である。 DGXタイプでF値や焦点距離の換算に対応したために、 EXIFに換算焦点距離が記録されるようになると 色々と困ったことが… という理由だと想像する(笑)


キヤノン EXTENDER EF 1.4X

EXTENDER EF 1.4X (初代)

かなりボロいが純正エクステンダー1.4X。 前玉突出部の太さ・突出量ともEFマウント用としては最も大きい

テレコンの中には前玉が突出していてマスターレンズのマウント面より中に入り込むものがある。 純正エクステンダーは全てこれに該当する。 そのため、 マスターレンズの最後群レンズがマウント面からある程度以上奥まっていないレンズには装着できないものがあるし、 レンズが奥まっていても内径が細いと装着できない。

純正エクステンダーの前玉突出部の径(太さ)はEFマウント用のテレコンバーターとしては最も大きいようで、 基本的には純正EFレンズでエクステンダーに正式対応しているもの以外は物理的に装着不能と考えた方が良さそうだ。

つまり、 最も汎用性が低いのが純正エクステンダーということになる。

  • 初代EXTENDER EF1.4Xの前玉突出部の直径は約34mm

突出量はマウント面からで約7mmと、 かなり出っ張っている。

基本的には、 純正EFレンズでエクステンダーに正式対応したレンズだけのための製品であろう。 現在持っているあらゆるレンズで唯一装着可能なのは、 正式対応しているEF200mm F2.8Lだけであった。


ケンコー 1.4X テレプラス (旧 1.5X テレプラス MC4)

ケンコー 1.5X テレプラス

…と言いつつ写真は全く同形状のタムロン AF TELE-CONVERTER(絶版)。 貴重品?!
肝心の前玉はほぼ全く出っ張っていない。

なお、 テレプラス1.5倍と同じ仕様のはずなのにタムロン版は公称1.4倍。 ケンコーとタムロン、 どちらを信じるかと言われれば…

純正エクステンダーとは正反対に、 最も多くの、 ほとんどのレンズに装着可能と思われるのがケンコーテレプラスシリーズだ。

ケンコーのテレコンは前玉がほとんど突出しておらず、 少なくとも望遠レンズであればほぼ全てのレンズに装着可能と思われる。

汎用性の点では最も優れていることになるが、 キヤノン純正やシグマが使用可能レンズに制限が出るにも関わらずわざわざ前玉を突出させているということは、 その方が性能的に有利だからと考えるのが自然だろう。

ケンコーテレプラスには基本シリーズと、 望遠レンズ専用に光学系を設計したという、やや高級なPRO300シリーズという製品群がある。

  • 基本シリーズ

  1. テレプラス

  2. テレプラスDG
    …無印のコーティング変更等でデジタルでの逆光に対策したもの?

  3. テレプラスDGX
    …DGにF値・焦点距離換算機能を付加したもの?
    冒頭で書いた通り、 DGXからは従来の1.5倍に相当すると思われる製品は1.4倍と表記されるようになった。

  • PRO300シリーズ

  1. テレプラスPRO300

  2. テレプラスPRO300 DG
    …PRO300のコーティング変更等でデジタルでの逆光に対策したもの?

  3. テレプラスPRO300 DGX
    …PRO300 DGにF値・焦点距離換算機能を付加したもの?(純正やシグマと同じ機能)

PRO300シリーズではほんの少しだけ前玉が出っ張っているようだが、 後玉がレンズ後端ギリギリまで来るレンズというのは大抵超広角レンズ等なので、 普通の用途で望遠レンズに使う分にはまず問題ないと思われる。

なお、 どうせ誰も気にもしていないだろうが、 かつてタムロンから発売されていたタムロン純正テレコンバーターはケンコーの無印テレプラスのOEMのようである。 逆光性能にこだわるタムロンだからせめてコーティングが独自のものだったりすると、 所有している私としては少しは嬉しいのだが^^;

キヤノンEOS用


シグマ APO TELE CONVERTER 1.4x

シグマ APO TELE CONVERTER 1.4X EX

上の純正エクステンダー1.4Xと比べると突出部は径・量ともかなり小さい

シグマのテレコンも前玉が突出してマスターレンズのマウント面より内側に入り込むタイプであるが、 純正エクステンダーに比べるとシグマのテレコンの方が突出量や突出部の径が小さいようで、 純正エクステンダー対応レンズにはシグマのテレコンバーターも使用できることになっている。

シグマのテレコンバーターには、 APOと名が付くようになったもの以降で下記のような種類がある。

  1. APO TELE CONVERTER

  2. APO TELE CONVERTER EX

  3. APO TELE CONVERTER EX DG

私が手に入れたのはAPO TELE CONVERTER 1.4x EX。 シグマのテレコンでは最も多くのレンズに使用できると考えられるからだ。

  • 突出部の直径は約26mm

ケンコーテレプラスを除くどれよりも突出部の径が細い。 突出量は、 1.4Xの場合マウント面とツライチ(±0) もしくはマイナス0.数mm(マウント面よりは奥まっているということ)。

それでもテレコン前玉がマスターレンズ内に入り込む構造なので、 マスターレンズの後玉がマウント面―レンズ後端でなく―とツライチか奥まっていなければ装着できないし、 マスターレンズのマウント部から後玉までの「穴」もそれなりに広くなければならない。 「穴」の入り口は広くても奥に行くにつれて細くなっているレンズもあるので注意を要する。

シグマAPO TELE CONVERTER EXが装着できたレンズ

キヤノン純正のエクステンダーはキヤノンの正式対応レンズ以外はほぼ装着できないが、 画質的には最良である可能性が高い。
ケンコーのテレプラスはほぼどんなレンズにも装着できるが画質的には不利と考えるのが自然。
その中間なのがシグマのAPOテレコンバーターだ。
実際に試したところ、 前玉の突出量も突出部の太さも純正よりは小さいので結構色々なレンズに装着できる。
しかしEX、EX DGといったモデルの違いで突出量・突出部の太さが異なり、 当然装着可能なレンズもテレコンのモデルによって違ってくる。

この点について次のページで詳しく説明する。

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