サイバーショットDSC-W380雑感

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先日購入したサイバーショット DSC-W380のレビューらしきもの。 サイバーショットDSC-W380は、 薄型・軽量で24mm相当〜のズームレンズを搭載したコンパクトデジカメ。

なお、 コンパクトデジカメはモデルチェンジのサイクルが早いので、 この機種もあっという間に市場から消えるだろう。 何しろ私が購入した時点で既に製造は終了していた。 なので今更この機種そのものをレビューしてもあまり意味 がないことはわかっている。

しかし、 機能性や操作性は後継機にも継承される可能性が高い。 実はこれは、 細かい性能なんかより遙かに使い勝手に影響する部分だったりする。 なので、 普段デジタル一眼レフを使っている人が「最近の廉価コンデジはこんな感じ」というのを把握するのには役に立つかもしれない。

今更網羅的にレビューする気はないので、 しばらく使っていて感じたことを掻い摘んで書いてみる。

収差補正

第一にこれかよ!と言われそうだが、 広角側が24mm相当〜であることを機種選びの条件にしたこともあって、 歪みが少ないことの恩恵は大きいのだ。

ワイド端

さすがコンデジ、歪曲収差の補正は完璧に近い。 レンズ固定式なのだから収差補正はやり放題だろう。 もちろん、 「そんなことをしたらレンズ本来の描写が…」なんてことは言ってはいけない。 この種のコンデジはカメヲタのための製品ではないのだ^^; 私だって、 せっかくお手軽なコンデジで撮った写真を手動で収差補正するなんて作業はやりたくはない。

なお、 私は広角で多少樽型に歪曲しているのは全然嫌ではないし、 むしろその方が自然に見えるという話もある。 ただ、 レンズ単体での歪曲は「多少」と言えるレベルではない(動画モードにするとわかる:後述)。 つまり「デジタルでの補正ありき」のレンズなのだが、 このクラスのコンデジでは頑固に光学的に補正(大きく重くなる)するより合理的だと思う。

ちなみに…

…と言うには結構重要なことなのかもしれないが、 動画撮影時には上記の歪曲収差の補正が働かないようだ。 処理能力の都合などを考えるといかにもありそうなことではある。 まぁ、本格的な動画を撮りたいような人が使う機種ではないのでそれで良いと思う。 50mm相当より広角側では液晶でも樽型の歪曲が確認できる。 テレ寄りの糸巻き型はあまり気にならない。

それに加えて…

知らないと驚きそうなこととして、 動画では静止画より画角が狭くなる、 というのがある。 これは恐らく、 動画撮影時は電子式の手ブレ補正になるからと思われる。 ブレ具合によって像をカメラ内部でシフトするというのが電子式手ブレ補正の基本手法で、 そのための余裕を確保する分だけ周辺部がカットされる。 動画で静止画と同じ補正方法だとどうマズいのかは知らないが、 とにかくそういう仕様のようだ。 なお、 縦横比16:9の動画撮影時の横方向の画角の変化はそれほど大きくないので、 あまり問題はないと思う。
それに対して、 静止画と同じ4:3(VGA)では縦横とも著しく画角が狭くなる。 24mm相当が30mm相当以上になってしまうような感じ。 理由はまったくわからないが、 まぁVGA動画はオマケみたいなものだと思って気にしないことにしよう^^;

なお、私は↓こんなのを撮るためにこのカメラの動画機能を使っている。

720pで見ると、 一昔(二昔かな?)のDVなんかより遙かに高画質なのがわかる。 YouTube上のものを見ると動体の歪みのようなものが見えるが、 オリジナルデータではそれほどではない。

なおこの動画、 電気スタンドのアーム部分にクランプ式の雲台を装着し、 そこにカメラを逆さ吊り^^;にして撮影している。 こんな方法で成り立つのもコンデジの重量の軽さのおかげと言える。

接写能力

購入前に散々拘っていた最短撮影距離は、 ワイド端5cm、 テレ端50cm。

焦点距離120mm相当で50cmというのは一眼レフ用標準ズームと同じようなレベルだし、 いんちき臭いワイドマクロ専用モードでなくてもシームレスにAFしてくれる点も好感が持てる。

焦点距離による最大撮影倍率の変化を載せておく。 やはり広角寄りになるほど撮影倍率が高くなっているが、 パースペクティブが少なく「物」の写真として自然に見られる焦点距離でもそれなりに大きく写すことができる。

約45mm相当
 

約63mm相当

約73mm相当

ん? 被写体の大きさがわからないって? 言われてみればその通り。 土台の穴の間隔が0.1インチなのでそこから推測して欲しい。 …というのは無理なので素直に言うと(すみません、何か一言ひねくれたことを言いたい年頃なんです^^;)、 写真の基板(緑色の部分)の長辺が約60mmである。

良い点・悪い点

重箱の隅をつついても仕方ないクラスのカメラではあるが、 一応羅列してみる。

  • 不満な点
    元々多くを求めてはいないので全く許容範囲ではあるが、気付いた点として…

    • USBケーブルがAVケーブル兼用の専用品
      最近のソニー製コンデジはSDメモリーカードが使えるのでケーブルを持ち歩く必要はほとんどないと思うが、旧来のソニーのしきたりに従ってメモリースティックDuoを使っていたら嬉しくない仕様。 自宅でしか画像の取り込みをしないなら良いけれど。
      しかし良い点もあり、専用端子には防塵用フラップが付いているためPCに接続する度にフタやカバーを開けるといった手間がない(フタを開閉するならいっそカードリーダーで取り込めばいいや、と思う)。 専用端子にズボっとケーブルを差し込むだけでマスストレージデバイス(カードリーダーですな)として認識される。
      ケーブルには伝統的な赤・白・黄のAV端子3つが付いていてかさばる。 なお、USB接続だけのためのケーブルは用意されていないようだ。 この付属のUSB/AVケーブルは「今時コンポジットビデオ用?」とも思ったが、 旅先などで一番確実に使えるのはコンポジット(上記の赤・白・黄色)なので、標準添付品としては妥当かもしれない。 それ以上を求めると、D端子に接続するケーブルは税別\4,000もする。 HDMI端子には対応すらしていない。 私はそもそもAV出力自体使わないのでどうでもいいが。

    • 操作音が…
      操作時の電子音の音量を大・小・切で選べ、加えてシャッター音のみONにもできるが(コンデジは電子的な音がないといつシャッターが切れたかわからない)、 ボタン操作は無音で合焦音だけONとか、合焦音とシャッター音だけONという設定はできない。
      デジカメに限らずボタン類を操作した時の電子音は本人以外には思いのほか鬱陶しいので個人的には全く不要だと思うが、 撮影時のことを考えると、AF合焦とシャッター音だけは欲しい。 ソニーαだって合焦音のON/OFFだけ独立して切り替えられるんでしょ? 加えて、まさかNEXはこんな仕様ではない…よね?

    • シーンモード「高感度」がISO800優先モード?
      シーンモード「高感度」は感度を上げてノーフラッシュでも手ブレを抑えて雰囲気のある写真を撮るモード、 ということになっており、 それが欲しいシーンは結構あるが、 ワイド端(24mm相当)でも平気で「ISO800 1/125 F2.4」なんていう露出になる。 逆にシャッター速度が1/4秒とかまで下がってもISO800を堅持したり。 もはや「ISO800優先モード」と言ってもいい^^;
      上記のシーンなら、 ISO200 1/25 F2.4か、 安全を見込んでもISO400 1/50 F2.4が妥当だろう。 なお、同じシーンをP(プログラムオート)の 感度Autoで撮ると、 ISO320 1/30 F2.4という順当な露出値が算出された。
      なお、Pモードではシャッター速度が落ちてもなかなかISO800以上に上がらない。 ということは、 メーカーとしてはISO400が一定の画質を得られる ボーダーラインと認識しているということだろう。 それなら「高感度」モードでも光量があればISO400以下に下げるべきでは ないかと思うのだけど。

    • 絞れない
      このカメラというよりこのクラスのカメラ全体に言えることだと思うが、 そもそも絞りをコントロールできるモードがない。 細かい設定をするようなカメラではないし、 このクラスのコンデジは小さい撮像素子のせいで絞り開放でも全然ボケないので、 それ 自体は構わないと思う。
      画質面でも、同じく小さな素子サイズのせいで、 開放から絞るほど解像度が低下するなんていう可能性もある(絞りによる光の回折の影響)。 絞りの重要性は一眼レフに比べれば遙かに低い。
      …が、 それを承知の上で、 マクロ域で物を撮ろうとすると解像より被写界深度が欲しい場合もある。 また、近接時は周辺の画質がかなり低下する 場合があるので、 回折の影響があっても画面全体でそこそこ解像して欲しいということもある。
      もっとも、このクラスのコンデジの場合F値とは言って いても内蔵NDフィルターを併用している製品がほとんどで、 一体本当は何段階の絞りがあるのかわからない。 「Fx.x〜x.x (NDフィルター併用)」といった書き方になっているので絞り機構が一切なくても文句は言えず、 そもそも絞りをコントロールする余地などないのかもしれない。

  • 良い点
    以前はソニーの製品というとミーハーでスイーツ(笑)な人向けのものが多いイメージで、 実際、 一見斬新だが実用上は使いにくくてしょうがない製品があった。

    スイーツ(笑)とは、 要は大して代わり映えしないものをただ呼び名を変えたりして消費を煽り、 実を見ずそれに乗せられる人のことですな。 カメラでもNEXで「背景ぼか(検閲により削除)

    …まぁ、 今でもそういう製品はあるのかもしれないが、 このカメラは使う側のことをちゃんと考えて結構真面目に作られているという印象を受けた。

    • 実はデザインを良く考えてある? (見てくれ的な意味でなく)
      個人的にはあまり好きではない正面の「SONY」オーナメントだが、実は指掛かりを良くするための機能部品だったりするかもしれない。 このオーナメントの表面は鋭利なローレット(ギザギザ)になっており、 ホールドする上で重要な右手中指をこれに引っ掛けることができる。 ローレットの角度も、水平でも垂直でも45度でもなく、右手中指で力が掛かる方向と直角になっている。
      更に、正面から見て右下にある「G」の文字は一見上記メーカーロゴと同じ加工のように見えるが、 実はローレット加工の角度が違い、 左手 の指で力が掛かる方向と直角になっている。
      これには結構感心したのだが、もしかして薄型のコンデジでは普通だったりするのかな?

    • ズームレバーはこの機種のように背面にある方が良い
      むしろズームレバーはシャッターボタンの奥にある方が使い慣れているのだが、 これ位小型のカメラではきっちりホールドしようとすると必然的に右手親指が背面右上部に来るので、 右手人差し指より右手親指でズームできる方が安定する。
      それでもシャッターボタンの向こうならまだいいが、 液晶の巨大化で背面にズームレバーを置けなくなったという事情か、 ズームレバーがシャッターボタン横にある機種もあ る。 シャッターボタンから指を伸ばさないとズームできないというのは使いにくいと思うのだが…

    • 動画の記録方式がMPEG4(MOV)である
      これは人に よって良いと思うか悪いと思うかが分かれそうだが、 主にパナソニックが採用しているAVCHDやAVCHD LiteはPCとの親和性は高くなく、 プレーヤーソフトが対応していないと再生すらできないこともある。 また、 PCでAVCHDやAVCHD Liteの動画を編集をしようとすると一旦別の形式に変換しなければならないことが結構あるようだ。 加えてAVCHD Liteは後から策定された規格ということもあってか、 肝心の変換ソフトでフレームレートがおかしくなったりすることがある(経験済み)。
      環境を整えればいいという話ではあるが、 少なくとも私の場合はMPEG4形式の動画を編集できる環境の方が簡単に構築できた。

    • ボディは華奢だが三脚穴はちゃんと金属製
      ネジ穴までプラスチック製のものは、使ったら簡単にネジ山が潰れてしまいそう…。 三脚穴がプラスチック製というのは、「使わない前提」としか思えない。 ないよりはいいけど。
      このクラスのカメラでは人によっては滅多に三脚は使わないとは言え、 セルフタイマー撮影やちょっとした夜景の撮影で小さなスタンドを取り付けることくらいはあるかもしれない のだから、 やはり金属製であるべき。 スタンドやショボい雲台の方が、 キッチリ作られた雲台より取り付け時のネジ穴への負担は大きい気がする し。

    • 防水ハウジングがラインナップされている(MPK-WF)
      24mm相当というコンパクトデジカメとしては広い画角は、 水中撮影でも重宝すると思われる。 何しろ、 水中では空気と水の屈折率の違いで焦点距離換算で約1.33倍に画角が狭くなるのだ。 自身も32mm相当のコンデジで水中撮影をしたことがあるが、 地上での標準レンズといった感覚になってしまう。
      本格的に水中撮影をする人は魚眼レンズを使うことも多いようだが、 水中で「スイングパノラマ」なんていうワザも使えるかもしれない。 動くものを入れられないという重大な問題があるけれど。
      私は素潜りレベルなので防水性能では防水デジカメを買った方が経済的だが、 素潜りでスイングパノラマする技量を身に付けてみたいとも思う(笑)

総括すると、 私のソニー製品に対する偏見に反して、 シンプル・実用本位で使いやすい。 別にソニーには何の恨みもないのだが、 こういう真面目な作り方ができるのならNEXの「背景ぼかしコントロール」という呼び名も…あ、誰か来た

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