広角レンズ用プロテクトフィルター
レンズにプロテクトフィルターを装着している方は多いと思いますが、最近はデジタル対応を謳う製品など色々なタイプがあり、同時に従来のものよりも値段がかなり上がっています。
以前は高いフィルターといえば偏光フィルターでしたが、最近のプロテクトフィルターには従来の偏光フィルターに迫る価格のものもあります。
私は、プロテクターは名前の通りあくまでレンズの保護用であって、あまり価格が高いと意味がないと思っています。
プロテクターに傷が付くのが嫌なんてことになるとそれこそ本末転倒です。 それは極端としても、保険としては高いのは確かです。
そのような理由もあって、私はプロテクターはできるだけ安価なものを使っています。
ほとんどはケンコーやハクバの昔からあるタイプです。 構造上デジタル一眼レフはフィルムカメラより逆光に厳しいのは事実ですが、そもそもそのような状況ではプロテクターを外すべき
なのであって、性能を追求すべき所ではないと思います。
それよりも問題なのは広角レンズに厚めのプロテクターを装着した時のケラレです。
最近のものは超薄枠を謳った製品が多いのですが、なぜだかやたらと高価だったりします。
実際は、超広角レンズに通常タイプのプロテクターを装着してもケラレない場合がかなりあります。
今まで使用した広角域を含むレンズに通常の薄枠でないプロテクターを装着した場合のケラれの有無を下の表にまとめました。
「非」薄枠プロテクターの使用可否 |
レンズ |
フィルター径
(mm) |
可否 |
備考 |
トキナーAT-X124DX(12-24mm F4) |
77 |
○ |
APS-C EOS Digitalにて |
シグマ18-50mm F2.8 EX DC |
67 |
○ |
APS-C EOS Digitalにて |
シグマ18-125mm F3.5-5.6 DC |
62 |
○ |
APS-C EOS Digitalにて |
シグマ18-200mm F3.5-6.3 DC |
62 |
○ |
APS-C EOS Digitalにて |
シグマ17-70mm F2.8-4.5 DC |
72 |
○ |
APS-C EOS Digitalにて |
EF24mm F2.8 |
58 |
○ |
フルサイズデジタルにて |
トキナーAT-X17(17mm F3.5) |
72 |
○ |
フルサイズデジタルにて |
タムロンSP17-35mm F2.8-4Di(A05) |
77 |
× |
フルサイズデジタルにて |
シグマ24-60mm F2.8 EX DG |
77 |
○ |
フルサイズデジタルにて |
タムロンSP24-135mm F3.5-5.6(190D/290D) |
72 |
○ |
フルサイズデジタルにて |
要するに、私の今までの経験では、タムロンSP17-35mm
F2.8-4Diをフルサイズデジタルで使用する場合以外は薄枠のものでなくても問題ない、ということです。
(むしろ最近の一番薄いプロテクターは本当に十分に保護してくれるのか不安になります。
プロテクターが割れてレンズを傷付けたりしたら元も子もありませんので…)
ただし、私以上に面倒くさがり(笑)の方で他のフィルターをプロテクターの上から装着したいような場合は、できるだけ薄いものを選んだ方がいいはずです。
そんな使い方はケシカランという方もおられるかもしれませんが、撮影画像に事実上影響がなければそれも大いにアリでしょう。
なお、フルサイズ/フィルム用レンズをAPS-Cデジタルで使用する場合はどのようなフィルターでもケラレることはまずありません。
さて、今回唯一「薄枠でないとケラれるレンズ」となったタムロンSP17-35mm
F2.8-4Diですが、やはり習慣的に何かしらプロテクターは装着したいと思いました。
多少ハードに扱っても傷が付かないという安心感はただの保険とは違った意味合いがあります。 しかし77mmの薄型は結構高い…。
更に、このレンズのケラレについて調べていたところ、ケンコーPRO1薄型プロテクターでもケラれるという話があり
、トダ精光というメーカーの
「スーパースリムプロテクター」という製品ならば大丈夫とのこと。 お店では見たことがありませんでしたが、オークションで新品の価格を調べてみると
価格も安く、また日本製という安心感もありこれにしました。
届いてみると、厚みは約3mmとかなり薄く、確かにタムロンSP17-35mmとフルサイズ(EOS5D)でもケラれませんでした
。 ちゃんと前面にフィルター取り付けネジが切られているので、キャップ(や他のフィルター)を装着することもできます。
ところでこのレンズ、そこまでフィルターにシビアだと偏光フィルターはどうなるのだろうと思い、 手元にあったハクバの薄型C-PLフィルター(S-Wideとの表記)でテストしてみたところ、これもケラレは発生しませんでした。
このC-PLフィルターの厚みは約4mmで枠も細くはないので、これで大丈夫ということは結局普通に売られている薄型プロテクターでも大丈夫だったようです。 …もっとも
、それらより安かったので何も問題はないのですけれど。
このフィルター、プロテクトフィルターの性能が気になって仕方ない方以外には普通にオススメできます。
一応申し添えると、両面マルチコート・内面反射防止(墨塗り)がされていると書いてありますので有名メーカーのものと劇的に差があるということもないでしょう。
安い上に特に品質に問題はないのですから、あえて他を選ぶ理由もありません。 また、3年間破損保証なんていうものも付いています。 ケチを付けるとしたら「DIGITAL KING」という海外ノーブランドも真っ青な
怪しげなブランド名でしょうか(笑)
なお、大型カメラ店では扱っていないと思いますが、少し前に見たところ東京・中野のフジヤカメラには置いてありました。
しかし売り場がジャンク館なのは大人の事情?
…と、ここまで書いておいて何ですが…
デジタルが主流になって、考え様によってはプロテクターと偏光フィルター以外のフィルターは不要とも言える時代になりました。
実際は、あるシーンを最高の条件で撮ろうと思えばそれ以外のフィルターも依然として必要なことに変わりはありませんが、多くの人はそれを必要としておらず、大して売れもしない「その他」のフィルターをラインナップし続けることは企業には負担であると想像できます。
それでも老舗フィルターメーカーは、ちゃんとそれらのフィルターの販売を続けています。
そして、「その他」のフィルターで採算が取れているとは思えません。
今は、カメラに限らず色々な業種で採算性の悪いものを切り捨てている時代です。
写真関係なら、銀塩フィルムのラインナップ整理で困っている方もおられることでしょう。
長い目で見てそれが業界の盛隆にプラスに働くかどうかは難しいところですが、何をおいても会社が傾いてしまえばそれまでですからやむを得ないとも言えます。
正直なところ、私は従来の2〜3倍もの価格のプロテクトフィルターを買う気にはなりませんし、メーカーを応援する気持ちで割高な製品を買うような「崇高な」消費者ではありません。
しかし、不採算製品をラインナップし続けるならば、儲かる製品で利益を上げて不採算製品の存続に充てるしかありませんから、色々と新しい効能書きを考えて高く売ること自体を否定するものではありません。
最新プロテクトフィルターの効能書きがどこまで本当か知りませんが、そのことよりも目先のことだけ考えて一方的な経済的合理化をしない姿勢を評価したいと思います。
そういう点では、フィルターの中ではもっとも売れるであろうプロテクトフィルターしかラインナップしていないメーカーが価格を安くできるのは当然とも言えます。
世の中にプロテクトフィルターしかなくなったら困るよなぁ、と思いつつも目先の利益での購買行動に走るのが私も含めた一般的な消費者というものですけれどね…。
というわけで、さぁ、聖人でない愚かな消費者はなるべく安いプロテクトフィルターを選びましょう(笑)
ごくごく一握りの人を除いたら誰もが愚民なのですから。
私も薄枠フィルターなら当分はこれを買うつもりです。 そしてこの製品とて、より安く同じ品質のものが出たらそっぽを向かれる運命にあるのです。
52mm |
58mm |
62mm |
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67mm |
72mm |
77mm |
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…なお、上記文面には多分に皮肉が含まれております^^;
不愉快な思いをされた方がいたらごめんなさい。
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