レンジファインダーを買ってみた

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レンジファインダーを買ってみた 〜Konica SIII購入〜

ある日…

会社の人と話をしていたら、最近写真を始めたとのこと。今時ですからデジカメでも買ったのかと思いきや、モノクロ写真をやってみたかったので銀塩、そして、なぜか古いリコーのレンジファインダーを買ってきたのだそうです。

「うーん、渋いね。クラシックじゃなくて古カメラなら安そうだし、今時のハイテクな一眼レフで撮るより楽しいかもしれない。 レンジファインダーはコンパクトらしいから、お散歩に連れてってテキトーにパシャパシャ撮るのも良いかも。うん、何か面白そう。俺も買おう!」
(以上、心の声)

・・・と、思いっ切り人の影響を受けて、レンジファインダーカメラを探し始めたのでした。

古いカメラってどんなモン?

しかし、どんな機種があるのか全然知らないし、そもそも、話では知ってるけどレンジファインダーってどんなもの?

とりあえずヤフオクの「レンジファインダー」カテゴリを見てみると出品はたくさんあるけれど、 どの機種がどんな機能を持っているのかわからない…。

そんなとき、こちらのサイト(その名も「レンジファインダー」)を見付けました。 多くのカメラの情報があり、レストア情報へのリンクなどもあって大変参考になります。 どうやら、私が狙っている世代のカメラには大きく分けて次のようなものがあるようでした。

  • 距離計内蔵のもの(いわゆるレンジファインダー機)と、距離計なし(目測式)のもの

  • 露出計は内蔵しているものとしていないものがある。

  • 露出計には、セレン光電池を使用したものと受光素子を使用したものがある。
    前者は電池要らずだが劣化すると反応が鈍くなったりする。
    後者は電池が必要で水銀電池を使うものが多いが、電池は入手困難。

  • マニュアルで露出を決められない機種も結構ある。

そこから、次のような条件のものに絞りました。

  • 距離計内蔵のもの。目測でパンフォーカス気味の写真しか撮れないのではつまらない。

  • 露出計は必須。お散歩に単体露出計なんか持って行きたくない…。

  • でも電池で苦労するのはイヤだから、セレン光電池式のがいいなぁ…(この方式は電池なしで露出計など全部の機能が使える)。

  • 露出制御は、絞り優先もしくはマニュアル設定ができるもの。

  • レンズにカビなどがなく、完動品で、\5,000円以下^^; (あくまでもお遊びですから…)。

ついにゲット

「ついに」と言っても、思い付いてから2週間以内だった気がしますが^^; 条件に合うカメラをオークションで見付けました。それがKonica SIIIで、完動品を\4,800で落札できました。

このカメラのスペックは次のようなものです。先程の「レンジファインダー」のこちらのページにも情報が載っています。

発売年 1963年
レンズ HEXANON 47mm/F1.9
サイズ 138×82×71mm
シャッター速度 B・1〜1/500秒
重量 約700g
露出計 内蔵、セレン光電池
露出制御 マニュアル

Konica S、 Konica SIIも、レンズが48mm F2であることと SIIでは露出計の採光枠がプラ製であることを除けば機能的には大差ありません (Konica Sの採光枠の材質はわかりません)。

数日後品物が到着。年式相応に、文字が薄くなっている部分などはありましたが、大きな傷などは無く実用機としては十分でした。 まずはファインダーを覗いて、以前から興味があった距離計の2重像をチェックしてみます。 最初は2重像がよく見えませんでしたが、慣れてくるとなかなかピントも合わせやすそうな感じです。

うちにやってきた古カメラ、Konica SIII。
よくわからないけど、ヘキサノンって結構イケてるんですか?(笑)

Konica SIIIのファインダー。写る範囲を示す四角い枠がピント位置によって移動して、パララックスを補正します。
上にあるのは露出計で、指針(黒い線)が中央に来たときが適正露出。ちなみにKonica Sはファインダー内の指針が無く、軍艦部のみです。 手に入れるならSIIかSIIIが使いやすいかと。

このカメラの露出計はTTLではない外部測光式ですが、ちゃんと絞りやシャッター速度リングと連動して、指針が中央に来たときが常に適正露出となります。 恐らく各リングに滑り式の抵抗器か何かが入っていて、光電池の出力電圧を可変させることで実現しているのでしょう。

しかし、リングの動きに一部ザラザラした感触があり、滑り抵抗に磨耗などがあるような感じです。 そうなると、すべての絞り・シャッター速度で露出計が正常に動作するか怪しいですが、 一眼レフの露出計と比較してみると大体正しい値を示しているようでした。

試し撮り

完動品と聞いているとは言え、やはり早いうちに試し撮りはしておきたいものです。 銀塩はデジタル一眼の補佐的に使う程度の私ですから、試写に適当なフィルムは持っておらず、 街のカメラ屋さんでコニカミノルタのJX400IIというネガフィルムを買ってきました。 銀塩経験の少ない私がフィルム装填に難儀するのは想定の範囲内でしたので、 予め入手しておいた、コニカの同年代のカメラのマニュアル を参考に、何とかフィルムを詰め込めました。 Konica C35のフィルム装填の項がほとんどそのままSIIIにも当てはまりました。

週末を待って、いよいよお散歩に連れて行きます。 元々は散歩なんかしない私ですが、今の家には引っ越してきたばかりなので、いずれ近所を散策しようと思っていたのです。 道に迷ったりしてウロウロしているうちにフィルム1本が無くなったので、 (何とか帰り道を見付けて…)帰りがてら駅前の写真屋に現像に出しました。

写りはどんなモン?

現像に出して数時間後、写真が仕上がりました。 同時プリントのL版ではカメラ自体の写りがどんなもんなのかはわかりませんでしたが、フィルムスキャナで取り込んでみたら結構しっかり写っていて、 安いコンパクトカメラとは別物だということがわかりました。

   
記念すべき最初の一枚。つまんねー(笑)
本当は標識だけにピントを合わせたかったのですが、最高1/500sのシャッターとISO400のフィルム、快晴という条件では、かなり絞り込まなければなりませんでした。
  ありがちな画ですが、こんなのでも改めて撮ってみようという気になるだけでお散歩カメラの意味があります。   何の花でしょう?家の方が大事に育てているのがわかりますね。
一眼レフは物々しすぎて人の家に向けるのは抵抗がありますが、ボロカメラならいいか、という気になります。

あくまでお散歩&試し撮りなので、つまんない写真なのは勘弁してください・・・。

   
このカメラはレンズにコーティングが施されていないそうで、確かに逆光には弱いです。まぁ、そんなことは気にせずてきとーに撮りまくるのが正しい使い方でしょう。   隠れ鉄な私は、鉄道を見かけるとついつい撮ってしまいます。色が変なのはネガの取り込みが下手だから。   近所で見付けた小さな神社。

この日は快晴で、フィルムがISO400だったこともあって、ほとんど絞り込んだ写真しか撮れませんでした。 近所の小さな写真屋で売っているネガフィルムはISO400しか無く、最高1/500sのシャッター速度では折角のF1.9が楽しめません。 露出計の精度を考えるとネガを使うのが妥当だと思いますが、買い貯めしたリバーサルの期限が切れたので、 今は失敗覚悟でISO100のリバーサルを入れてあります。このレンズがどんなボケ方をするのか、現像するのが楽しみです。

ちょっといじってみました

購入時から2重像の縦方向がズレていたので調整してみました。このカメラの場合、縦方向の調整はアクセサリシューの下にある穴に細いドライバーを突っ込んで、(見えない)ネジを回すことで調整できます。横方向(=距離)はファインダー脇にあるネジで調整できるようですが、迂闊にいじってズレてしまうと調整が面倒くさそうなので触っていません。

その他、上にも書いた絞りとシャッター速度リングのザラザラした感触も気になります。リング周りを分解して整備すれば直りそうな気もしますが、やはり距離計の調整が必要になりそうなのでやっていません。そのうち、ただ撮るのに飽きたら挑戦してみようと思います。

概して…

実はこのカメラ、思ったほどコンパクトでも軽量でもないのですが、雰囲気的にお散歩のお供にはいい感じです。 街中、特に住宅地で一眼レフを構えていると周囲から警戒のオーラを感じますが、オンボロカメラなら許される気がします。 撮る方としても「一枚を仕留める!」という感覚は希薄で、大らかな気分になれます。

値段もお手頃で、お遊びで買えるこの手のカメラ。 良い写真を撮ろうと必死になって、趣味のはずがいつの間にか写真に追いかけられてしまっている方(私…。)一台いかがですか? 気分に任せて撮っているだけで楽しいという当初の感覚を思い出せるかもしれませんよ。


2006/9/12追加

久し振りにKonica SIIIと散歩

露出計がアバウトなこの手のカメラではネガの方が良いと聞きますが、リバーサルでの撮影には耐えないのか試したいということもあって、 今は亡きKonicaMinolta SINBI100 HighQuality(SRA)を詰めて散歩に出掛けました。

   
         
   
         
       
         

いかがでしょう。どの写真も、スキャン時に大幅な明るさの補正は行っていません。 内蔵露出計はTTLでもない入射光式ですが、リバーサルでの撮影にも十分耐えうると感じました。

問題は、デジカメ世代の私から見ると「お散歩写真に高いリバーサルと現像代は勿体無い」と感じてしまうことです。 かと言って、デジタル一眼レフはどんな小さなレンズを着けたとしてもお散歩には大き過ぎます。
大きさだけの話ならコンパクトデジカメという手もありますが、 「液晶画面を通すと写真を撮っているという実感が湧かない」「AE・AFで撮影するのではつまらないし、便利なカメラをあえてマニュアルで使うというのでは味気ない」 といった理由で、その選択肢はありません。

そんなわけで、結局はネガフィルムを使うことになりそうです。 期限切れ直前の「業務用記録用カラーフィルム」なるものも格安で買ってきました。やっぱりお散歩は気楽じゃなくっちゃ。 記録用っていうのは、原色に忠実なんでしょうかね。その辺りを試してみるのも今後の楽しみです。

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