古くマイナー故に謎多きこのレンズは、自分の中で評価がなかなか定まらなかった1本です。それは、状況によってシャープに写ったり
甘い画像になったりして、その傾向が把握できなかったからです。
今回、やっと本気で試写した結果、このレンズ本来の解像度は相当に高いということがわかりました。
以下、作例と併せて、このレンズについて私が把握したクセについての話も含めて紹介します。
メーカーの製品情報:キヤノンカメラミュージアム
使用カメラ:EOS10D
Digital Photo Professionalで現像(シャープネス:3)
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作例
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50mm〜
このレンズの評価を惑わせる原因になったのがこの焦点距離域です。
下のサンプルで、1枚目のネコの写真はシャープ、2枚目はフレアっぽいと感じたのではないでしょうか。
どうやらこのレンズは、僅かにアウトフォーカスとなった高輝度部がフレアのように写るようなのです。1枚目の一見シャープなネコの写真も、よく見れば
鼻先と後頭部のボケが滲んでいます。
この傾向は、3枚目の白い花(ドクダミ)の群生の写真からよくわかると思います。この写真は斜め上から見下ろすアングルで撮っているため、ジャストフォーカスの部分以外はボケということになりますが、画面中心のピント面から少し外れた部分がフレアっぽく、それより近くまたは遠くなると普通のボケになっていきます。
なお、この傾向は広角寄りで顕著で、ある程度以上望遠側になると現れなくなります。
私が当初このレンズの描写が甘くなることがあると感じたのは、平面状のものを写した際にピントが僅かに外れていたため、画面全体が「僅かにアウトフォーカスな部分」となり、
その結果全体が滲んだ画像になっためだと考えられます。 |
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ピント面からフォーカスが外れていく過程でのボケの変化の特徴がわかります。 |
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このような構図だとほとんどわかりませんが、ピクセル等倍で目を凝らして良〜く見てみると、階段の手すり部分に僅かなフレア状のものが認められます。 |
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このような、「僅かにアウトフォーカス」な部分がない写真では、例の特徴は見受けられません。 |
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70mm〜
70mm(1枚目の写真)では、アジサイの花に上記のような滲みが僅かに見受けられます。そして、80mm以上になると、この傾向はほとんど見られなくなります。
ピント面のシャープさも、この辺りから更に上がってきます。80mm以上では相当の切れ味だと思います。 |
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アジサイの僅かなボケに、微小なフレア状のものが見受けられます。遠景のボケには影響していません。 |
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シャープさが際立つ一枚。ボケも自然で悪くないと思います。 |
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接写能力もなかなかのもの。最短撮影距離は1.2m、最大撮影倍率は0.23。 |
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このレンズは、本質的には「開放から切れ味の鋭いレンズ」ということになります。コントラストが高く色乗りの良さも感じられる優秀なレンズであることがわかりました。
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ところで、デジタル専用の標準ズーム(17/18mm〜50/55mm等)を使っていると望遠ズームとのつながりが気になります。F2.8やF4クラスとなると70(80)mm〜200mmに限定され、微妙な画角差でレンズを交換しなければならないシーンが増えてしまいます。
※最近は50mm〜のF2.8望遠ズームも発売されていますが、画質は旧来のものに一歩譲るようです。
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同じ焦点距離域のレンズとして、デジタル専用に限定すれば「偶然の銘玉?」と言われるシグマ55-200/4-5.6DCがあります。あちらもかなりの高画質と聞きますので、僅かな明るさの差を除けば、このレンズと比較する価値があります。
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いずれにしても、この焦点距離域のレンズはデジタル専用径標準ズームと組み合わせて撮影するにはとても便利です。私の場合は、腰をすえて撮影するなら200/2.8ズーム、気楽に撮るならこのレンズといった棲み分けにな
ると思います。
主観的画質評価
★★★★★ 4.5 (5点満点)
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