明るくなく、 中級レンズと同じ構造だけれどLレンズ… キヤノンにはかつてそういう製品がいくつかあり、 このレンズもその一本。
EF100-300mm F5.6とほぼ共通の設計ながらLレンズの象徴たる蛍石を採用しLを名乗るこのレンズの実力は本当に「L」に相応しいものなのか…?
キヤノンカメラミュージアム EF100-300mm F5.6L
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使用カメラ:EOS5D(フルサイズデジタル、1280万画素)
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注記が無い限り、カメラで撮影したJPEGをそのまま掲載
(縦位置の写真は無劣化回転を施している)
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注記が無い限り、撮影パラメータは標準設定
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画像の中央約2900×1900を切り出すとおおよそAPS-Cで写る範囲になる(約550万画素)
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周辺光量
手抜きで、 いつもと違って青空でのテストではない。
ワイド端100mmでは、 周辺減光は全く気にならないレベル。
200mm、 300mmではこのような平坦な構図ではやや周辺減光が感じられるようになり、
300mmが最も周辺光量の低下が大きい。
しかし、 中心付近からなだらかに光量が落ちていくため、 実際の撮影では絞り開放でも
ほとんど気にならないというのが実感。 300mmで青空を入れる際は少し絞れば安心といった程度で、 安心して使える。
※周辺光量の低下は青空などで最も目立ち、縮小画像では実際より大きく感じる。
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F5.6 (絞り開放) |
F8 |
F11 |
100mm |
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200mm |
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300mm |
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歪曲
このレンズは直進ズームなので、
ちょっとしたことで焦点距離が変わってしまう。
そのため135mmでテストしたつもりの画像はExifでは123mmとなっていたので、 「135mm付近」としておく。
135mm付近までは歪みが気になることはまずないだろう。
200mm以降は糸巻き型の歪みが目立ち始める。
最も歪みが大きいテレ端300mmでの歪みは、 300mm
F5.6クラスのズームとしては並といったレベルであろう。 |
100mm |
135mm付近 |
200mm |
300mm |
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解像テスト
どの焦点距離域でも中心部の解像性能は高く、 周辺に向けての中間部でも解像性能の低下は少ない。
基本的に周辺部での画質低下も少なく、 廉価70-300mm F4-5.6ズーム
とはレベルが違う。
それを踏まえた上で廉価ズームより上のレベルのレンズとして評価しても、
どの焦点距離域でも絞り開放から主に被写体が配置され得る範囲では高画質を保っており、 最周辺部でやや像が甘くなるという程度。
周辺部の画質低下は、 他の焦点距離と比較すればワイド端100mmとテレ端300mmで比較的大きいが、 やはり廉価
な70-300mm F4-5.6といったズームやEF70-300mm
F4-5.6 IS USMよりは良好であると思われる。
また、 中心部はテレ端300mmが一番シャープ。
300mmでの撮影時の実際の構図を考えれば周辺より中心付近が重要なことが多いはずで、 その点では好ましい特性と言えるかもしれない。 |
作例
私はこのレンズを結構お手軽用途で使っていたので手持ちでいい加減に撮ったような写真が多く、 ピクセル等倍でお見せできるような画像があまりない。
なので、 EOS5Dで撮ったままのJPEGを50%リサイズしたもの(それ以外の処理は無し)でご勘弁頂きたい。
それでも実写での色や周辺光量の参考にはなるはずである。 |
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300mm 絞り開放F5.6 |
300mm F8 |
210mm 絞り開放F5.6 |
300mm F8 |
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300mm 絞り開放F5.6 |
300mm F8 |
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少なくとも、 周辺光量の項で書いた通り、
実際の撮影では300mmの絞り開放でも周辺光量の低下がほとんど気にならないことはわかって頂けると思う。 |
主観的画質評価
★★★★ 4 (5点満点)
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EOSで使える300mm F5.6ズームは70-300mm F4.5-5.6 DO
IS USMを除けば廉価版ばかりだが、 それでは頼りなく、 より画質の良い300mm
F5.6ズームが欲しいというのであれば今でも大いに価値があるレンズだと思う。
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しかしレンズメーカーの急先鋒、 タムロンSP70-300mm F4-5.6 Di VC
USD (A005)は強敵である。 タムロンは中心部のシャープさはもちろん、 フルサイズの周辺部での画質低下も少ない。
価格を考えると驚異的と言える。 ただしタムロンの唯一の弱点とも言える周辺減光の点ではこのレンズが勝っている。
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この頃のキヤノンのレンズは距離指標にマクロゾーンがあり、
それなりにクローズアップ撮影ができる。 このレンズの最大撮影倍率は0.26倍。
もっとも、 シグマやタムロンの廉価70-300mmはテレマクロモードを持っており、
テレマクロモードに切り替えれば最大撮影倍率0.5倍を実現している。 だが、
両社とも手ブレ補正の搭載と同時にこの機能は省略されてしまった。
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概して、 中級レンズと共通の鏡筒設計であることから操作感や質感に高級感は無いが、 少なくとも画質に関しては 廉価ズームとは一線を画すだけの性能
を持っている。
個人的には、 シグマやタムロンの廉価70-300mmより、 入手可能ならばこちらをお勧めしたい。
ただし、 この頃のキヤノンのレンズの共通点として、 MF時のフォーカスリングの感触はとても良くない^^;
未だに現行モデルとして生き残っているEF24mm F2.8も似た感触なので、 経年劣化ではなく元々そんなものなのだろう。
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