オリンパス STYLUS TG-850 Tough
休暇に沖縄に行くことにしたのだが、 ここ数年防水のカメラを持っていなかった。
以前使っていたコンパクトデジカメ+防水ハウジングなんていうゴツいものではなくスマートな防水デジカメが欲しいところだが、
普段はほとんど水辺では使わないため、 ただの防水デジカメではなく出来れば普段の撮影でも使えるスペックの物が欲しかった。
そこで目を付けたのが2014年3月に発売されたばかりのオリンパス
STYLUS TG-850 Tough。
このカメラの一番の長所は言うまでもなく防水であることだが、それを除いても次のような特長がある。
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広角21mm相当〜のズームレンズ
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防水なのに液晶が可動
コンパクトですぐに取り出せるというだけでも一眼レフのサブカメラとしての存在価値はあるが、
加えて一眼レフで撮れない領域をカバーできれば魅力は大いに増す。
これにはSTYLUS TG-850 Toughはまさに適役で、 実物も見ずに購入してしまった。
私は基本的に撮影目的でない旅行ではレンズ交換はしたくない。
なおかつ広角は28mmでは不満なので、 今までは望遠側を捨ててタムロン
SP AF 24-135mm F/3.5-5.6 AD ASPHERICAL [IF] MACRO (190D)というレンズ1本を携えて行くことが多かった。
広角側24mmも望遠側135mmもそれで十分とは言い難いのだが、
撮影そのものが旅行の目的ではない場合は撮影を諦めていたのだ。
これが、 STYLUS TG-850 Toughで超広角をカバーできるようになると
事情が大きく変わる。
一眼レフに装着するレンズには28-300mmといった高倍率ズームを選ぶことができるようになるのだ。
私は旅行でもフルサイズ機を持って行くので28-300mmということになる。
これで、 望遠側は300mm、 ポケットからTG-850 Toughを取り出せば超広角21mmでも撮影できることになる。
感覚的には TG-850 Toughが交換レンズ1本の役割も果たすという感じ。
もちろん超広角はコンパクトデジカメの画質でしか撮影できないことになるが、
あくまでも撮影が主目的ではない旅行での話なので画質を気にしすぎては本末転倒だ。
それに、 望遠側に比べれば、 表現力としては一眼レフとコンパクトデジカメの差は縮まる。
なお、 私はこの種のコンパクトデジカメには全くと言っていいほど画質は求めていない。
STYLUS
TG-850 Toughも撮像素子こそ1600万画素だが、 解像性能は全く画素数に追い付いていない。
もっともこれはTG-850 Toughに限ったことではなく、 コンパクトデジカメの
「画素数」 というスペック自体が 「最もどうでも良い性能」 だと思っている。
TG-850 Toughに関して言えば、 その解像性能からして最高画素数で記録することには殆ど意味が無い。
なので、レビュー記事としては言語道断と言われるかもしれないが、
今後もフル画素で保存する気がないので記録サイズは常に「8M」 (3200×2400 = 768万画素)に設定している。
以下に作例を掲載するが、
28-300mmを装着したフルサイズ一眼レフのサブとしてなのでほとんどが広角端での写真だ。
また、 レタッチ耐性の低いコンパクトデジカメの画像はそのままプリントして綺麗であるに越したことはないので、
発色モードはVividを選択している。
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やはりコンパクトデジカメの液晶は可動であってほしい。
撮影アングルが大きな要素となる超広角での撮影ではすぐさまローアングルに対応できると撮影の幅が広がる。 |
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液晶は上にだけ180度可動だが、
当然上下逆さに持てば下方に可動となるのでハイアングルでも撮影できる。
…が、 21mm相当の超広角なのとレンズが本体隅にあるのと慣れていないのとで、
自分の指が写り込んでしまった。 お恥ずかしい…失敗例ということで。 |
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搭乗の間際、富士山が綺麗に見えたので一枚。
セキュリティーチェック後は搭乗に向けて一眼レフは仕舞っていることもあるのでサっと取り出せるコンパクトデジカメは有り難い。 |
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恐らく歪曲等は内部で補正していると思われる。 |
コンパクトデジカメは広角マクロはお手の物だが、 STYLUS
TG-850 Toughはワイド側だけでなくテレ端でもちゃんと0.1m(10cm)まで寄れるのが偉い。
※スーパーマクロモードでは最短1cm |
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石垣島 吹通川河口のマングローブでスイングパノラマでひと振り |
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久米島の畳石がある海岸では独特な地形が広がっていたのでこれもスイングパノラマで |
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実際に沖縄滞在中はタムロン28-300mm F3.5-6.3 XR
(モデルA06)を装着したEOS5DとTG-850Toughだけで全ての撮影をこなした。
私は広角での撮影が好きなので、 手間なく21mm相当で撮影できることで撮影機会が増えたし、
一眼レフのレンズが28-300mmになったことによってもシャッターチャンスが増えた。
また、 気にもしていなかった良い点として、 自分撮りが自然にできるというのがあった。
レンズが広角であることもあり、 自分撮りでもそれなりに記念写真が撮れてしまう。
液晶が180度回転できるのでちゃんとフレーミングできるし。
ええ、 シャッターを頼める人がいないときは年甲斐もなく自分撮りしてましたよ…
ただし、 もちろん全てにおいて優れているわけもない。
使っていて気になった点を挙げておく。
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一般的なコンパクトデジカメに比べるとゴツくて重い
特に厚みがあるのと、 胸ポケットに入れるとズシっと来る。
10m防水・防塵と耐衝撃性を確保するためだとは思うが、 防水・防塵だけでも充分だったのではないかという気もする。
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ボタン類、 特にレリーズボタン(シャッターボタン)の感触が悪い
恐らくこれも防水の影響だろう。
水中で使うなら当然のこととして気にもならないだろうが、 私のように地上で使うことの方が多い人は気になるかもしれない。
すぐに慣れたが。
ただし、 ちょっと触っただけでシャッターが切れてしまうボタンより好きという人もいるかもしれない。
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動作が緩慢
撮影後、 次の撮影を行おうとしても処理が追い付かずAFフレームが出ていなかったりする。
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コンパクトデジカメなのだから当たり前だが画質はコンパクトデジカメレベル
他の中級コンパクトデジカメと比べて劣っているわけではない。 どれもこんなものだ。
写真プリントの2Lサイズまでなら大丈夫、 A4ではアラが見えるというレベルではないかと思う。
全体としては、 近年のオリンパスのカメラには 「?」 と思うことが多かったが、
用途や購入対象者をはっきりさせた結果なのか、 良い製品になっていると思う。
21mm相当というのは水中撮影を考慮しての仕様だとは思うが、 サブカメラとしても重宝する特長だ。
※水中では大気との屈折率の違いにより、 大気中と比べて画角が焦点距離×約1.33倍相当になるため、 約28mm相当の画角となる。
ただのコンパクトデジカメははっきり言って面白味がないが、
防水・防塵・耐衝撃・超広角という付加価値のおかげで 「売れる」カメラになるのではないかと思う。
なお私が購入した時点ではブラックが品薄で、
そのせいかホワイトより数千円も高いという状況だった。
本当はブラックが欲しかったのだが、 色だけのために1割増しというのももったいないのでホワイトを選択した。
フロントの金属パネルが黒に塗装されているブラックより無塗装に近いホワイトの方が傷付きにくい気もする。
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