スリックSBH-120 小型自由雲台
小型軽量かつある程度の機材で実用に耐える自由雲台が欲しいとずっと思っていた。
その間、コンパクト三脚を新調する機会があり、 ちょうど良い雲台が付いていたら一石二鳥だなぁなどと期待したのだが、 付属の雲台がクイックシュー付きのモデルしかなく、
仕方なくULTRA LUXi Lの「脚のみ」を購入したため、 自由雲台の新調は先送りになってしまった。
自由雲台としてはマンフロットの#352というある程度しっかりしたものを持っていて、
そんなに大きくない割に70-200mm F2.8クラスを載せても問題なく使える結構良いものなのだが、 見た目に反して自重が400gもあるのでコンパクト三脚と組み合わせるには丁度良いとは言い難い。
他にベルボンのPH-243という小さな自由雲台を持っているが、
これはコンパクトカメラ・コンパクトデジカメもしくはノンレフレックス一眼+小さなレンズに最適で、 一眼レフならせいぜい入門機+キットレンズなら何とか
使えるか…?というもの。
元々そういう目的の製品なので仕方ないが、
他の雲台同様適正な範囲を超えた機材ではカメラがお辞儀してしまうのに加えて、 レバーを思いっ切り締めても、
しっかりグリップできるカメラだとボディに力を加えることで構図の微調整ができてしまう^^;
そして、 そういうものに限ってなぜか手元に2個転がっている…
一時のベルボン製品を購入すると「オマケ」で付いてきてしまう雲台だったのだが、
実はブツ撮りの際のフラッシュの固定など便利に使っていたりする。
それどころか実際はEOS5D+ストロボ+タムロン24-135mmなどちょっと無茶な機材で使ったことも…
旅先での記念写真レベルだけれど。
雲台の固定強度は横位置以上に縦位置での撮影では重要で、 横位置ならお辞儀するところ、
縦位置での使用時にはお辞儀に加えてカメラが傾く(水平が狂う)ことになる。
実はあまり自由雲台が好きでない私には、 固定強度の点からも小型軽量な2ハンドルや3ウェイの雲台があればそれが一番良いのだが、
ベルボンのPHD-31QやPHD-41Qといった小型のものはどれもクイックシュー内蔵タイプ
。
なので、
事実上自由雲台だけから選択することになった。
コンパクト三脚の件に続き「クイックシュー非搭載」を連呼しているとそろそろ変人扱いされる恐れがあるが^^;、
誤解のないように申し上げておくと私自身結構クイックシューを使う。 ただ、 用途によってクイックシューを使う・使わないを選択できる方が合理的
だと思う。
求める機能・性能
上の条件に合いそうなものをリストアップすると下記のようになった。
もちろん雲台のメーカーはスリックとベルボンだけではないが、 固定力などは実物で試してみないとわからないので、
どうしてもどの店にでも置いてある製品から選ぶことになってしまう。
種類 |
自由雲台 |
自由雲台 |
自由雲台 |
自由雲台 |
自由雲台 |
メーカー |
ベルボン |
スリック |
ベルボン |
スリック |
ベルボン |
型番 |
QHD-41 |
SBH-100 |
QHD-51 |
SBH-120 |
QHD-61 |
自重 |
100g |
100g |
180g |
130g |
280g |
高さ |
62mm |
62mm |
79mm |
75mm |
98mm |
推奨重量
最大重量 |
2kg
- |
-
2kg |
3kg
- |
-
3kg |
4kg
- |
クイックシュー |
なし |
なし |
なし |
なし |
なし |
中型機材
固定能力 |
×
かなり不安あり
PH-243と大差なし |
▲
少し不安あり |
○ |
○ |
○
(推測) |
販売価格 |
(生産終了) |
2千円強 |
(生産終了) |
4千円位 |
8千円位 |
「中型機材固定能力」は完全に主観で、
普通の力でレバーを締めたときに機材の自重でお辞儀したりしないかといった程度のことを現物で確かめた。
ただし、 QHD-61は下位モデルのQHD-51がクリアしているのだから大丈夫でしょ、 という推測による。
推奨重量(ベルボン)や最大重量(スリック)はどの程度客観的なものなのかがわからないので同メーカー内での比較程度にしか
役に立たないが、
QHD-41とSBH-100やQHD-51とSBH-120など同クラスと思われる製品で比較するとスリックの方がベルボン
よりしっかり固定できる感がある。
そして、
QHD-61になると大きさ・重さがマンフロット#352とあまり変わらないので用途からは外れる。
実物を見たり触ったりした感じで用途に合っているのはベルボンQHD-51とスリックSBH-120だったが、
両者の固定力にあまり差を感じなかった上に、 スリックの方が軽量でコンパクト三脚に向いているためスリック
SBH-120を購入した。
ベルボンの新モデル
ベルボンのクイックシュー非搭載の自由雲台はそれぞれQHD-43、
QHD-53、
QHD-63にモデルチェンジされているので、 旧モデルはそろそろ店頭からは姿を消している。
このモデルチェンジでボディへの締め付け方法が変更され、 カメラ台を握って締め込む一番原始的な方式から指先でノブをつまんで締め込む方式になった。
3way雲台のようなダブルナット機構を持たない自由雲台の場合、
そこそこ重さのあるレンズを装着して縦位置撮影をしようと思ったらそれなりに気合いを入れて締め込めないと話にならない。
で、この方式でそこまで強く締め付けられるかと言われると… |
SBH-120の固定能力
事前にある程度はチェックしてあったが、
コンパクトな外観にも関わらずかなりしっかり固定できる。
EOS5DにEF200mm F2.8L USMとエクステンダー2Xを装着、
三脚座なしというかなり重心が偏った状態でもお辞儀してしまうようなことはなかった。
縦位置撮影でも同じく問題なし。
雲台自体の剛性(ブレにくさ)については、
中型以上の三脚と組み合わせて使っていないので何とも言えないが、
コンパクト三脚で使う分には脚の剛性の影響の方が遙かに大きいのは間違いない。
ベルボン ULTRA LUXi Lとの組み合わせ
上の写真がベルボン ULTRA
LUXi LにスリックのSBH-120を組み合わせた場合。
装着してあるボディはEOS5D。
この組み合わせでは、 重さは実測ではぎりぎり1kgを切っている。
ULTRA LUXi Lの自由雲台バージョンであるULTRA LUXi
L II (一部店舗限定モデルでQHD-51Qが付属)よりもちょっとだけ軽
い。
しかもクイックシュー内蔵ではない(しつこい^^;)。
このような買い方 …脚のみと雲台を別々に購入… をすると値段は割高になるが、 ULTRA
LUXi Lの脚もSBH-120も、 その位こだわってもコンパクト三脚・雲台としては十分期待に応えてくれる性能を持っていると思う。
国内の三脚2大メーカーであるスリックとベルボンについて、
主観的すぎるかもしれないがあえて言うと、 スリックは質実剛健で真面目な製品が多く、
ベルボンは新機構の採用等に積極的なイメージがある。
好みや目的によって異なるのでどちらが良いとは言えないが、
カメラ関係に限らず小型軽量モノは後者の方が魅力的に映ることが多い。
他の性能が多少怪しくても小型軽量であることが何にも勝るということはよくある。
反対に、
自由雲台という雲台の中でも原始的な構造の製品では機構を工夫する余地はほとんどなく、
単純にメカの精度で強固に固定できることが重要になる。
この違いが、 脚はベルボン、 雲台はスリックという選択に至った原因かもしれない。
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